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嫉妬ですか。
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純平と駄弁りながら教室に入ると、一人で席に座っていた遥が目に入る。
いつも通りメガネを掛けて、分厚い本を読んでいる。
昨日のことをまた思い出し、顔が熱くなってくる。
うわぁ、話しかけづらいなぁー……
とりあえず、純平をさりげなく盾にして自分の席へ向かう。
が、遥はすぐに俺に気付いたようで、こっちを向いてニッコリした。
もう観念して、机にカバンを置きながら笑い返す。
純平を見ると、なんだか渋柿でも口に入れられたような顔をしている。
なにかあったのか?
気になって純平の腕をつつくと、純平は依然その顔のままで、
「仲良いねー」
とそっぽを向いた。
やさぐれたように言うそいつを見て、珍しいな、と思う。
いつも余裕そうなのに。
優しい俺は、ちゃちゃっとフォローを入れる。
「まぁまぁ、俺らだって仲良いじゃねぇか。 そうしょぼくれんな」
「しょぼくれてないしー。 かなり強面な男と女の子みたいな男の子が一緒にいるのが面白っくて」
「……強面な男って誰だ?」
が、必要なかったようだ。
折角の気遣いを皮肉で返してきやがる。
「鏡見たらどう?」
「お前は黙っとけ!!」
俺らが笑い合っていると、いつの間にか本を閉じていた遥が隣に来て、俺のカーディガンの袖を引っ張った。
何事かと遥の方を向くと、遥は不満そうに頬を膨らませていた。
あれ、どうしたんだ……?
俺が首をかしげると、純平はまるでチェシャ猫の様にニタァーッと口角を上げる。
「そっか、ヤキモチ妬いちゃったんだね~?
ゴメンね、君の徹に話しかけちゃって」
そして、その顔のまま遥の方を向く。
俺のカーディガンを握る手は震えていた。
あーぁ、ビビってる。
「ちょ……っ、遥を苛めんなよなー。 こいつビビりなんだか……ら」
「そうです……っ! ヤキモチです……っ!
星野君は……いつも徹と一緒……だから……」
俺が軽く注意しようとすると、遥がそれを遮った。
純平は、へぇ……と目を細める。
「桜井君、徹の飼い犬みたい~」
そのまま、一人で笑っていた。
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