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成長できたと、言いたい
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──自分でも、自分がよく分からない。
でも、一つ分かってることは、僕はサイテーな奴だってこと。
怖いから、一歩踏み出せない。
頑張ってるのに。
だけど……
無理なんだよ
また、傷を付けられたら嫌だ。
怖い。
怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い。
この日常が壊れてしまうのが、嫌だ。
けれど、日常の終わりなんて簡単にやってくる。
その日が来たら、僕は本当に壊れてしまうかもしれない。
嫌だ。
嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ。
君の存在がどんどん僕の中で大きくなっていく。
大きくなる度、バカみたいに怯えている自分がいる。
このまま、君に甘えても神は許してくれるかな。
僕からもうこれ以上大切な人を奪わないで欲しい。
臆病者。
ほら、学校に行かなきゃ。
君の笑顔が待つ学校へ。
ね、あそこには僕を蔑む奴等はいないんだから。
*
登校すると、隣の席の君はまだ教室に居なかった。
少し残念に思いながら、昨日掛けてもらった言葉を思い返す。
『……俺……多分……遥のこと、好きだわ』
この好き、はどういう意味なんだろう。
友達として?
それとも、それとも──。
火照ってきた顔を隠すように本を広げる。
なに妄想してるの、僕!
でも、君となら、君になら僕の全てをさらけ出してもいい。
何故かは知らないけど。
君なら優しくしてくれると思うから。
……だから……っなに妄想してるの!?
僕……こんな変態だったの……!?
ヤバイ。
頭から湯気でそう……っ
本を持つ手が羞恥心からかいつもみたいに震えた。
ふっと、視界が影で少し黒くなる。
あれ、誰か僕の前に立ってるの?
もしかして、徹?
慌てて顔を上げる。
「顔真っ赤よ。 熱でもあるの? 遥チャン」
しかし、そこに居たのはクラスの女子だった。
確か徹と仲の良い──誰だったか。
名前は覚えていないが、僕がちょっぴり苦手としているタイプの女子だ。
というか、僕は女子が得意ではない。
「うぇ……っ……特には……具合は……悪くない、です……」
思わず目を逸らすと、その子は寂しそうに笑った。
僕、なんか言っちゃった……?
人が悲しそうにするのは嫌いだ。
「お、お気遣い嬉しいです……っ、ぁ……の、だからそんな顔しないでください」
僕は、本を持つ手の震えを止めた。
その子は、そんな僕を見てビックリしたような表情を浮かべた。
自分でもあれ、と思った。
僕、こんなにハッキリ物を言えるようになったの……?
「アハハ、こちらこそお気遣いありがとう。
やっぱ、アイツは凄いわね。 遥チャン、随分お喋りさんじゃないの」
その子が行ってしまってからも、僕はしばらくボーッとしていた。
この、些細で大きな変化。
これを、成長というのだろうか。
僕は、やっと一歩踏み出せたのだろうか。
やっと、解放されたんだろうか。
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