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俺のダチなんで。
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そして、約束の日曜日がやってきた。
朝の九時に駅の前の広場に待ち合わせ──なのだが。
俺がその日、目覚めたのは八時半。
──ヤバイ、遅刻だ。
かくして俺は、上下灰色のジャージ姿で自分家の最寄り駅へ走っていた。
(本当はもっといい服で行くはずだったのに!)
息を切らせてやっと駅へ着くと、待ち合わせ場所の広場に遥の姿はなかった。
時計を見ると九時十五分。
帰ってしまったのか……?
いやいや、遥なら一時間でも二時間でも待ちそうだ。
まさかそんな短気なはずはないだろ。
じゃあ、あいつも遅刻……?
「ねぇねぇお兄さん、私達と一緒に遊ぼうよー」
「そうだよぉ、絶対楽しいから!」
色々と思考を巡らせていると、そんな声が耳に入ってきた。
声がした方を向くと、そこに居たのはキャピキャピのギャル二人と──メガネを外した遥だ!
ギャルに逆ナンされてる!?
あいつ、なんで外でメガネ外してんの!?
というか、メガネ外して見えるのか!?
色々言いたいことはあるが、俺は遥の方へ向かう。
あのまま放っておいたらどっかに連れていかれちゃいそうだしな。
「……おい」
俺がギャルに声をかけると、泣きそうな顔をした遥が飛び付いてきた。
ポンポンと背中を軽く叩いてやると、ぎゅっと手を回してくる。
俺はギャルを真っ直ぐ見据えた。
「……こいつ、俺のダチなんで。 声かけないでもらえます?」
ギャルはヒィッと声を上げ、どこかへ行ってしまった。
「……おい、行ったぞ。 離れろ」
俺がそう言うと、遥は我にかえったかのようにパッと離れた。
そして、しどろもどろに言葉を紡ぐ。
「……ぁうっ……ご、ごめんなさい……ぼ、僕……」
「なんでメガネ外した?」
今日の遥は、前を開けたチェックのシャツの下に黒いTシャツを合わせたりなんてしていて、かなりオシャレだった。
「お前は可愛いんだから、逆ナンされることくらい分かるだろうよ」
「……割れちゃったんです……電車で……」
俺が咎めるように問うと、遥は唇を噛んでうつ向いた。
はぁ、とため息を吐いてから手を伸ばす。
「……手、引いてやるよ。 見えないんじゃないのか?」
遥は目を見開いてから、俺の手を取った。
「……あのメガネ、伊達なんですけどね……」
そして、ニッコリ笑った。
──可愛い。
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