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可愛いよ。
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家へ着いて、ドアを開けるとなぜか女物の靴が沢山あった。
……また姉さんが友達連れこんでるのか……?
まぁ、そんなことは気にせずに遥を迎え入れる。
そして、自分の部屋の戸を開けようとする。
が、なぜか俺の部屋の戸は予告も無しに開き、俺のでこに直撃する。
でこを押さえてうずくまると、遥が心配そうに背中を擦ってくれた。
「……あ、徹居たんだ!! ごっめーん、気付かなかった!」
少し痛みが引いた頃、神経を逆撫でするような声が俺の耳にははっきりと届く。
「……姉さん、なんで俺の部屋に」
そこには、うずくまった俺を見下して笑っている姉さんの姿があった。
姉さんの耳元のピアスが、キラッと眩しく光る。
知らない人が出てきて怯えたのか、遥が腕を絡ませてくる。
言うまでもないかもしれないが、その顔は真っ青だ。
「え? エロ本漁ってたのー。 あ、美咲達と一緒に」
姉さんがそう言うと、部屋から俺のマイコレクション(の中でも特に過激なもの)を手に取って笑っている美咲と純平の妹が顔を出した。
そのマイコレクションの表紙を見て、顔を赤くさせる遥の目を手で塞ぐ。
「はぁ!? ふざけてんのか、お前ら!! というか、こいつが怯えてるからあっち行け!!」
それから、姉さん達にそう怒鳴る。
だが姉さんは、俺らを見てさぞかし面白そうに笑っている。
「それにしても徹、可愛い子連れてきたねぇ~。 あ、噂の遥君? どっちが攻めなの?」
「えぇっ、遥チャンなの、その子!?」
そこで絶叫したのは美咲である。
そういえば、こいつの素顔は誰にも見せたことないんだっけ。
俺と同じように床に座り込んでいる遥は、ゆでダコのように顔を真っ赤にして頷いた。
「やだぁーっ、可愛いわぁーっ!!」
一人で盛り上がり中の美咲の言葉に、遥は少し反応した。
「可愛い……ですか……? でも……ぼく……」
目をしばしばさせて不思議そうにしている。
すると、空気など読まない姉さんが真顔で言った。
「君は受けっていう雰囲気がする。 徹とはそういう関係になってるの?」
「徹先輩のツンデレ攻めってやつですね!?」
「きゃぁぁ、そうなのね!?」
その発言が火種となり、女共は盛り上がり始めた。
よし、この隙に撤退しよう。
急いで俺は、軽い遥を抱き上げてリビングへ向かった。
とりあえずお茶を出し、軽く頭を下げる。
「ごめんなー、姉さん達がうるさくて……」
ちゃぶ台の前で正座した遥は、聞こえているのか聞こえていないのか、上の空で質問してきた。
「……あっ、あの……っ……僕……可愛いんでしょうか……?」
「えっ、可愛いに決まってるだろ。 俺、いつもお前のこと可愛いって思ってるし」
正直に答えると、遥はさぞ嬉しそうに笑った。
そして、
「……ありがとうございます……!」
と俺に向かってはにかむ。
「ほら、今の顔も可愛い」
「徹も今の顔、凄い可愛いです……!」
「……俺がか?」
遥の言葉には皮肉なんて微塵も込められていなくて、素直に照れてしまう。
可愛い、か。
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