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くせっ毛の人。
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「じゃーな、また来いよ」
俺は電車に乗った遥に手を振った。
逆ナン対策に、と着せた俺の黒いパーカーのフードを深く被った遥は、パーカーの丈がかなり長くて見えていない手を振り返してくれた。
電車が見えなくなるまで、あいつのことを見送る。
結局、今日はあまり勉強出来なかった。
俺らが一言二言でも会話すれば姉さん達が冷やかしに来るし、挙げ句の果てに兄さんが帰ってきてテレビを付けてしまったのだから、無理もないだろう。
まぁ、俺はあいつと居られただけでもハッピーなんだ、うん。
無理に納得して歩き出そうとすると、後ろから肩を叩かれた。
「え、えーっと……君、さっきの男の子と友達?」
振り向くと、クリンクリンのくせっ毛の少年が遠慮がちに立っていた。
どうやら、俺と遥が友達なのか訊いているらしい。
「……そうっすけど……」
なにか問題でも?と訊こうとすると、
「あ、そうなんですか! 失礼しました、ではサヨナラ!」
その少年は踵を返して人混みに紛れてしまった。
俺は首をかしげる。
なんだったんだ、あいつ……
*
「……あー、なんでお使いなんてしないといけなかったんだよぉ……」
僕は、住んでいる所とは程遠い駅でブツブツと文句を言った。
昨日姉に、『アニメのブルーレイの限定版を買ってこい』と言われ、遠出を強いられた僕である。
……あーあ、すっかり日も暮れちゃったし。
休日をぶっ潰された僕の不憫さは世界でNO.1だな、きっと。
ボーッとしながら駅のホームへ向かって歩いていると、乗るはずだった電車が出発することを伝えるベルが駅内へ響く。
慌てて走り出すが、時既に遅し。
電車のドアは僕の目の前で閉まった。
──が、僕はこの時乗らなくて正解だったのだ。
ふと、電車の中にいる人物に目が止まる。
その時、息が止まる程ビックリした。
友達と思われる男の子に手を振っていたのは……
「…………は、るか……?」
僕が、××××いた人物だったから。
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