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靴箱の中身。
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兄さんと恋バナをした次の朝。
この日久しぶりに一人で登校した。
比較的早い時間に登校したので、回りにあまり人はいない。
眠い目を擦り靴箱を開けると、紙切れがヒラヒラと舞いながら足元に落ちた。
拾いあげると、それはピンクの封筒でハートのシールで封がしてあった。
……もしや、これは……
回りに人がいないのを確認して、開けてみる。
中には可愛らしい便箋が一枚。
『ずっと前から貴方を見ていました。
放課後、屋上まで来てください』
裏を見ても送り主の名前はなく、ただ『近藤 徹 様』と俺の名前が書いてあるだけだった。
しばらくその字面を穴が空きそうになる程になるまで見つめる。
これは、これは──。
「ら、ラブレター……!?」
人生初、ラブレター。
顎が外れそうになるのを必死に堪えて、その手紙を丁重に鞄の中にしまう。
ヤバイ、夢みたいだ!!
*
今日一日、ずっと上の空だった。
告白というものには、どう応じたらいいものかずっと考えていたし、緊張で意識が飛びそうにだってなった。
オーバーにしてるんじゃなく、本当に。
悲しくもこれが俺の実態である。
そして、とうとう放課後になったんだ。
「──待って、徹! ちょっと、時間ある……?」
俺が教室からいそいそと出ていこうとすると、遥に引き止められた。
真剣なその表情に、一瞬頷こうかとも思ったが、
「……すまん、大事な用事があるんだ」
俺は遥よりもまだ見ぬ女子を取った。
遥とはいつでも話せる。
けれど、あの手紙の送り主は今も俺を待っているのだ……!
「その話はあとにしてくれるか?」
……いや、違う。
俺は怖いんだと思う。
「……そんな大事な用事じゃないだろ?」
もし、それが俺とこいつの生ぬるいような関係を崩すような話だったら。
昨日わりと心の深くに入り込んだ心配性の寄生虫が『聞かなくていいよ』と囁きかけてくる。
「……わかりました。じゃあ、また、今度……」
遥は少し寂しそうに笑った後、教室を出ていってしまった。
──さて、俺も屋上へGOだ。
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