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恋愛対象なんかじゃないし。
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「…………遅い」
俺が屋上に来てからかれこれ十分程経った。
が、人っこ一人くる気配がない。
多分もう誰も来ないだろう。
……からかわれたのか?
はぁ、とため息を吐く。
遥の呼び掛けにも応じないでなにをしてるんだ、俺は。
が、その時、屋上のドアがガチャと開いた。
思いきり油断していて、思わず寄りかかっていたフェンスから落下しそうになる。
もしや、手紙の送り主!?
一瞬胸がときめくが、入ってきたのは完全に野郎だ。
あれ、しかもこいつ見覚えあるぞ……確か同じクラスの……
「……あ、浅沼じゃねぇか」
俺が話し掛けると、クリクリ坊主頭の浅沼はビックリしたように目を見開く。
「え……っ、お前か、この手紙書いたの!!」
そして、鞄の中からピンクの封筒を取り出した。
……俺が貰ったのと同じ封筒。
無理に奪って確認すると、文面も俺のものと同じだ。
ってことは、やっぱ釣りか……?
予想はついていたが、やはりショックだ。
俺はガックリ肩を落とす。
「……俺が書いたんじゃねぇよ……俺も同じの貰った……」
俺が鞄から封筒を取り出して見せると、浅沼は渋い顔をした。
それから俺と同じように肩を落とす。
「……告白されたら絶対付き合ってたのに……」
「……無念な非リアだな……」
そんな二人の間を風は吹き抜ける。
俺の短い前髪が二、三回揺れた後、浅沼は口を開いた。
「でもさ、お前はいつもくっついてる奴いんじゃん?
あいつとは恋仲じゃねぇのか?」
ポツリポツリと美咲のことを話題に出してくる。
「……よく聞かれるけどな……あいつとはただ構い合いしてるだけ。
あいつになんて興味ないし。 まぁ、好きだけど」
誰があんなやつと恋仲になんてなるか。
が、男女が一緒にいるとすぐ冷やかすのが男の性質だ。
昔はよく冷やかされたなー、なんてボーッとする。
浅沼はへぇ、と声を漏らしてから俺に手を振った。
「じゃ、俺もう行くわ」
適当に手を振り返して、浅沼を見送る。
……あー、疲れたわ。
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