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営業スマイルの嵐。
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HRが終わると、遥は逃げるようにどこかへ行ってしまった。
十六夜は、俺の方を振り返ってニッコリする。
「ね、徹君……だっけ?」
「……近藤だ。 気安く名前で呼ぶんじゃない」
素っ気なく返すと、へぇ……と声を漏らして目を細める十六夜。
そして、含み笑いを浮かべて言った。
「遥と仲良しなの?」
本当はシカトされているが、意地を張って頷こうとすると甲高い声が響いた。
「ストーーーーーップ!!」
そして、俺と十六夜の机の間に滑り込んでくる美咲……と、なぜか純平。
大声を出されたせいで、耳がキンキンする。
「なんの用だ!! うっせぇ!!」
いきなりの乱入者登場にも関わらず、十六夜はやはり不適な笑みを浮かべている。
(……なかなか強者だ……)
そして美咲の顔を見ると、キザな動作で手を伸ばした。
「こんにちは、お嬢さん。 ──宜しく」
「えぇ、宜しく。 ごめんなさい、うるさくって」
美咲は意外にもアッサリその手を取り、にこやかな笑みを浮かべる。
よそ行き用の営業スマイルだ。
(この笑顔に男はみんな騙されるんだ)
「いやぁ、転校生の君を一回確認しておきたくてさ~」
純平はポリポリ頭をかき、やはりよそ行き用のイケメンスマイル。
よそ行き用の顔など持っていない俺は、適当に微笑んでおく。
「へぇ~……仲良くしてね~」
俺の周りの三人とも営業スマイルを浮かべているという、なんだか不可解な空間が出来上がった。
「……ヤンデレ攻めね」
唐突に美咲の口がモゴモゴ動く。
どうやらこいつが初対面の奴に必ずする、攻めか受けかの確認のようだ。
しばらくそのまま他愛のない話を続けると、なんだかこいつがヤクザグループの関係者なんて信じられなくなってきた。
姉さんの嘘っぱちじゃないのか?
不意にそんなことを疑っていると、いきなり、教室のドアがガラッと開く。
「……あ、遥君」
純平がボソッと言うと、十六夜の顔はぱぁーっと輝く。
「遥!!」
恐る恐るといった様子で近付いてくる遥は、俺らを見て目を逸らす。
それから、
「聖次君」
と十六夜に駆け寄り抱き付いた。
目を見張る俺。
何故か純平と美咲は然程驚いてはいなかった。
十六夜は、俺に満面の笑みを見せる。
「……あはは~。 僕達、恋人同士なんだよね~」
「なんだと!!??」
俺があんぐり口を開けると同時に、チャイムが鳴って先コウが入ってきた。
遥は、なにも言わずに席に座った。
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