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いい匂い。
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「徹」
寝ぼけてる中、急に名前を呼ばれて心臓が跳ね上がる。
珍しくガラガラの朝の電車の中。
気付くと純平が隣に座っていた。
「今、寝ぼけてたでしょー」
からかう様な調子で指摘されて腹が立つが、事実なので何も言い返せない。
俺がだんまりすると、頭をわしゃわしゃと撫でられる。
高校生にもなってこんなことされると恥ずかしいが、なんとなく落ち着く。
純平は、優しく俺に問いかけた。
「……不安?」
「……なにが」
「本当はあの子に嫌われてるかもって思ってるんでしょ?」
俺がなにも言わず純平の顔を見上げると、純平は肩をすくめる。
そして、俺の頬をつねった。
しかも思いきり、だ。
思いきり。
「いってぇ!」
思わず頬を押さえて純平を睨む。
そんな俺をジッと見る純平。
「ばーか。 徹のことをあの子が嫌いな訳ないでしょ。 寧ろいつもラブラブ光線出してたよ。
あの子は絶っっっっ対徹のこと大好きだよ。 俺が保証するし」
不意に、ギュッと抱き締められた。
ひょろくて、でもちょっと逞しくて、いい匂いのする身体。
不思議とこいつの匂いを嗅ぐと落ち着く。
いつだったけ、最初にこの匂い嗅いだの。
「……痛かったでしょ、ごめんね」
純平は、俺から離れてからつねった所を撫でてきた。
「……でも、俺が保証するから! あの十六夜って奴と遥君がなにか言っても、気にしなくていいと思うし」
「……うん」
俺、励まされてばっかだ。
色んな人を巻き込んでる。
少し情けなくなった。
「間違っても、自分で解決しようなんて思わないでね?」
「わ、わかってる!!」
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