アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
炭酸飲料。
-
空は快晴で、申し分なくいい天気。
皆浮き足立っていて、お洒落をしている。
──今日は、学園祭だ!
他校の女生徒だって、卒業した先輩達だって、今日は色々な人が沢山来る。
新たな出会いを信じている男共はウキウキを隠せないようで、何枚も皿を割った。
その度に飛ぶ怒号。
気の立った女子達は、メニューの最終確認をしながら叫んだ。
「いい? 学園祭当日の朝の今は最後の準備時間なの。 もっと気ぃ張ってかかれ!!」
クラス全体が慌ただしく最終準備をしている中、俺はというと目立たぬように教室の隅へ待機。
他にも、そんな男子が何人かいる。
……無理にメイド服を着させられた野郎達である。
俺達はもう、朝早くに来て接客の練習を女子達にしつこい程やらされている。
店が開店する前だというのに、皆の顔はげっそりだ。
「……スカートって寒いよな……」
「……もう無理だ、男にご主人とか言うの」
「もう立ち直れねぇ……」
そこだけ雨雲がたちこめる様な雰囲気だが、キッチン担当の奴等は見向きもしない。
まぁ、忙しいんだろうけど無情なもんだな……
はぁぁ、と息を吐き、体操座りをして膝に頭をうずめる。
すると、フリルのカチューシャを着けた俺の頭になにか当てがわれた。
「……頑張れ」
穏和そうな声にハッとして顔を上げるが、ゴトッとペットボトルの炭酸飲料が膝の上に落ちただけ。
キョロキョロと周りを見回すが、皆が忙しそうに走り回るのしか見えない。
炭酸飲料の冷たさがタイツを通して伝わった。
俺はそれを開けて、グイッと喉に流し込む。
パチパチと喉の奥で弾ける泡。
よし、こんなことしちゃいられねぇな。
「なんかやることあるかー?」
俺が立ち上がると、近くにいた純平が、
「わっ、徹がメイド服着てる……」
と面白そうに呟く。
その時目の端で、遥がこっちを見ているのに気付く。
が、すぐに十六夜と合流して二人で話し始めた。
「……無駄口叩いてないで準備しようぜ」
俺は純平にそう言って目を閉じた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
65 / 102