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ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ。
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……誰か暇そうな人、居ないかなぁ……
俺は人でごったがえし、満員電車のようになっている廊下をうろちょろ。
勿論メイド姿のまま。
ちょっとばかり周りの人の視線がキツイがまぁ仕方ない。
……うん。
他にも着ぐるみ姿の奴とかいるしな。
折角の学園祭にボッチで居るのは……寂しすぎる。
こんな時に優しい恋人がいたらどんなにいいか。
一瞬、あのビン底メガネの奴が頭に浮かぶ。
まだバカみたいに期待しているのを改めて思い知り、自然と歩くスピードも速くなった。
どうせあのメガネは十六夜と一緒なんだ。
期待するな、俺。
俺は沈んだ気持ちを隠すように、出店を見ながら廊下を歩く。
が、周りには友人か恋人と楽しそうにしている奴らしかいない。
とても惨めな気持ちになってしまい、とうとう走り出す。
とにかく、どこか人のいないところに行きたい。
そんなことしてもやっぱり惨めなのは変わらないのだが、ちょっとは気が紛れる。
はぁはぁ息を弾ませながら、気付くと人気のない体育館裏に来ていた。
息を整えて体操座りし、持ってきていた炭酸飲料を喉に流し込む。
いくらかボーッとしていると、急に、
「ちょっと、そこのボク?」
変な香水の匂いと共に、そんな男の声が聞こえてきた。
気付けば、俺の周りには男達がわらわらと集まっていた。
皆いかにもチャラそうで、年は少し俺より上くらい。
えっ、こいつらってヤンキー?
「……えぇっと……なんでございましょうか……」
ヤンキーなんてこれまで縁がなかった為、答える声も裏返る。
「俺らと遊ばねぇか?」
「……は?」
俺は、心底驚いてアホくさい声を出す。
え、でも、だって……
「お、俺……男っすよ……?」
男同士に抵抗があるわけではないが、可愛げのない自分が男に声をかけられるとは……
「いーじゃんいーじゃん。 君、可愛いし。 ねっ?」
「脱いでくんね?」
伸びてきた手を見て、そんな呑気なこと言ってられないのを悟った。
ヤバイ、早く逃げなきゃ……!
「……お、俺は、そういうの興味ないんで……っお、お、お引き取りください……!!」
自分のキョドり様に笑えてくるが、今はそんなこと言ってられない。
俺は立ち上がって、じりじりと後ずさる。
「ねぇねぇ、どこ行くの?」
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」
再び手が伸びてくるが、俺は絶叫しながら一気に逃げる。
走って、走って、自分がどこにいるのか分からなくなるくらい走ると、なんとか撒けたようだ。
俺の目の前には、『呑みもの屋』という看板がぶら下がっていた。
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