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酔っ払い。
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ぎぃぃぃぃーっと音を立てて戸が閉まると、逆光でよく見えなかったその人物がはっきりと目に写る。
「……遥」
「ふぁっ……と、おる……?」
何故か一人でいる、遥だった。
遥は挙動不審に目を泳がせ、俺と目を合わせぬようにしていた。
「……? 座らないの?」
チカは不思議そうに首をかしげた。
俺もボーッとする頭で、空いている椅子を引いて促す。
「そうらよ、座ればいいらろ~」
遥は観念したように息をつき、俺の隣の椅子に座った。
それでも落ち着かない様子で、メニューを手に取る。
「……ぇぇと……え、と、僕……」
「オレンジジュースれ(で)!」
「はいはい、徹が奢ってあげてね」
俺が勝手に注文すると、チカは苦笑いしてオレンジジュースを出した。
しばらく皆無言になる。
頭がふわふわしている俺は、テーブルに突っ伏す。
「……気持ち悪ぅ……」
「甘酒で酔わないでよ~」
困ったように水をくれるチカ。
気がきく人だ。
それからチカは遥に向かい合う。
「遥君……だっけ? ちょっと俺外に出るから、この酔っ払い、宜しくね」
「……は、は……ぃ……」
チカはそう言うが早いか、さっさと外へ出ていってしまった。
店に残された俺と遥。
……これは……チャンス……!?
甘酒を飲んだせいかなんなのか、俺はストレートに切り出していた。
「……遥、好きら」
「………………」
「一緒に居たいんらけろ……」
「………………」
「お前は……ろうなのかなって思っれ……」
マズイ、やっぱり呂律が回らねぇ……
頭がボーッとして、自分がなにを言ったのか見当もつかない。
遥はうつ向いて唇を噛んだ。
「……徹」
「らに?」
「……ずっと……僕のこと見ててくれますか……?」
遥は小さい声で呟く。
聞き取れなくて、首をかしげる。
「あん?」
「…………なんでもないです。 気にしないで」
「嫌らー、気にする……」
「うわぁっ……! 徹……!?」
俺は遥の小さい背中にのしかかる。
遥は必死で抜け出すと、
「……ぼ、僕……もう行きます……っ」
と逃げるように行ってしまった。
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