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近藤 徹
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『聖次side』
近藤 徹、16才の高校二年生。
少々ガラが悪いが容姿も平凡……勉強が出来ない典型的なスポーツバカ。
数々の部活からの勧誘も無視して帰宅部を貫き通している……
正直、なんでこんな奴が人気があるんだか分からない。
やたらとこっちを睨んでくるし、遥もなにかとアイツのことばっかり。
まぁ、遥にはお仕置きが効くからいいけど……
着実に、あの鈍感野郎から遥を奪い返す(こう言うと人聞き悪いけどね?)のは成功へと突き進んでいた。
なのに、遥は気付くとアイツの方を見ている。
こっちを見てくれない。
どうして、なんだろう……
けれど、邪魔が入る程楽しいじゃないか。
自分に言い聞かせ、アイツを目の敵にしていた。
それに少しも抵抗はない。
遥を飼い馴らすことも抵抗あったのにね。
『えー………っと、新入りにこんな仕打ちはちょいと酷くねぇかなーって……思ったんだけど……それだけ……えっと、俺が二人分頑張るからってことで……』
自分でも、酷かなって思う位に遥とわざとらしくイチャついててて、完全に嫌われたと思っていたのに。
アイツは俺を庇った。
実に不可思議だ。
なにを考えてる、こいつは。
考えても分からない。
しかも、こいつは僕がヤクザ関係の輩だということも知っているらしい。
どうしてか、分からない。
この胸の中に、変に情がわいたのも実に不愉快。
*
結局学園祭は真面目に勤務してしまった。
が、近藤はぶっ倒れて知らぬ間に保健室に運ばれたそうだ。
アイツ、頑張るって言った癖に足ばっかり引っ張ってた。
所詮口だけの男なのか……
ムカムカしながら人気のない廊下を歩く。
西日がガンガン顔を照らして熱い。
知らない間に遥もどこかへ行ってしまった。
どこかへ行く時は僕に許可を取れと、あれほど言ったのに。
「メイド姿似合ってるね、徹」
曲がり角を曲がろうとすると、聞き慣れ、今となっては憎悪しか感じない声が聞こえてくる。
どうして、あれがここに……?
心臓がバクバク音を立てている。
こっそりとそっちを覗くと、バクバクを通りこして一瞬世界から音が消えた。
“あれ”と近藤が親しげに話している。
そのすぐ側には、遥──。
……まさか近藤……近藤は……“あれ”の弟なのか……?
なにも考えられなくなって、その場にへたりこんだ。
なにも聞こえない。
なにも感じない。
あぁ、なんて偶然──。
やっぱり、情なんてわかせない。
徹底的に痛めつけてやる。
見てろよ、近藤 悠……
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