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嫌な予感
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『美咲side』
学園祭翌日、中間テスト3日前。
皆テストが気になってピリピリしているなか、アタシは別の事案でピリピリしていた。
「あぁもうっ! 出ない! どうしよ……なんかあったんだよやっぱり!!」
「落ち着いて、落ち着いて。 もう一回、掛けてみてよ」
昼休み、屋上で泣きべそをかくアタシの背中をさすりながら、純平もちょっと不安そうな顔をした。
アタシはまた徹や悠さんに電話をかける。
「……出ない」
しかし、何も聞こえない。
今日、遥も徹も、更には十六夜まで学校を無断欠席した。
流石に偶然とは思えない事態に、アタシと純平は繰り返し悠さん達に電話をかけている。
「……気をつけろって言われてたのに」
悠さんは、アタシに何度も念を押した。
『ヤクザは本当に恐ろしい、絶対油断しないで』って。
全部、アタシのせい。
用心してなかった、アタシの。
「……まぁ、ただの偶然かもよ。 気負いしないほうが吉だよ」
「もっと……もっと励まして」
「大丈夫、大丈夫。 なんとかなる」
そう我が儘言って、純平に優しい言葉をかけてもらう。
自分勝手にも程があるだろうか。
でも、でも、でも
「でも……っ徹チャンになにかあったら嫌だもん……純平もそう思うでしょ? 嫌だよ、あんな憎たらしい奴に徹チャンが傷つけられるの……! 遥チャンだって……遥チャンだって……」
気付かぬうちに、嗚咽が漏れていた。
目の前の景色がぼやけ、純平の表情すら見えない。
でも、きっと困ってる。
だって、興味もない女に泣かれるなんて困るじゃない。
ほんっと……自分の勝手さと強引さ。
全部嫌い。
「まぁまぁ、そう悲観しないで。 ね?
泣いたら折角の整った顔が台無し」
「……ごめ、ごめん」
不意に差し出されたハンカチ。
それを受け取れずにわんわん泣いていると、子供にやるみたいに優しく涙を拭かれる。
なんだろう、いきなり優しくして。
「なに今更謝ってるの。 君といて俺にどれだけストレス耐久出来たと思ってんのさ」
「……嫌味言わなかったらっ……ヒグッ……あの冷血漢にアンタのこと……っ売り込んであげたのに」
「必要ないよ、そんなの」
「……へぇ」
学園祭でなにかあったんだ。
そのことは察するまでもなく理解する。
いいな、ラブラブな人がいて。
少しだけ妬んだ後、手元のスマートフォンが振動しているのに気付く。
たった今来たメールを見て、アタシはぶっ倒れてしまった。
「……おい、美咲!?」
遠くで、焦ったような純平の声が響いていた。
ーー
TO:自分
美咲ですか、悠です。
徹がリンチにあったようです。
くれぐれもこの情報は外に流さないでくれるとありがたいです。
徹が入院しているのは○○病院です。
良かったらお見舞いに来て。
聖次は学校に来ていますか?
来ていないのなら少々マズイことになった可能性があります。
それでは、また。
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