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兄弟なんだよね。
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姉さんは、ポツリポツリと喋り始める。
「チカと聖次ってさ、兄弟なんだよね。
で、私とチカは友達でさ。 ……年は離れてたけど。 私と聖次はそりが合わなくって喧嘩ばっかりで……多分、あいつ兄さん大好きっこだったからだね。
それでさぁ……」
一気にまくしたて、姉さんはため息をつく。
俺はチカが聖次と兄弟なことが意外でならない。
まぁ、穏和そうな雰囲気は似てるかもしれないけど……
しかも、姉さんがヤクザなんかと友達だったとは……柄じゃないことするなぁ。
「いつだったかな、チカがいなくなったの。……私なにがなんだか分からなくなっちゃって、あの子に当たっちゃってさぁ。 ホント……馬鹿なこと……したよ」
「………………」
「ちょっとでもあの子のこと考えればよかった。 一番ツライのはあの子なのに……それで、誤解もさせちゃってさ。 私、あの子に恨まれてるの。
多分……アンタが私の弟だってバレたんだ。
それで……きっと遥も……
ごめんね、私のせいでこんなことになっちゃって」
姉さんは、少しだけ悲しそうな顔をする。
が、俺を見てニコニコ顔に戻った。
俺は、気になったことを訊いてみる。
「なぁ、遥にもなにかあったの?」
「……………」
「なぁ……答えろって……」
「……学校に来てない」
思わず立ち上がろうとすると、手でそれを制される。
暴れようとするが、姉さんの顔を見てやめた。
「……ごめんね、徹」
「別に……姉さんのせいじゃないし。 悪いのは性格悪いあいつだろ」
「……あいつが性格悪くなったのも私のせいだし」
普段見えない気弱な態度に、俺はなにも言えなかった。
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