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荒ぶる女
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『純平side』
「あぁぁぁぁ……っ、早く早く! 純チャンと浅沼! トロトロしないで早く歩いてよぉ~!
先行っちゃうからね!」
コンクリートの地面を蹴飛ばし、美咲は俺達を置いて走り出した。
その早いこと早いこと。
お前の前世はチーターかなにかか。
それを見て、隣にいた坊主頭の浅沼がため息をつく。
「……煩いっすね」
「そうでしょ?」
美咲、俺、そして何故かクラスメイトの浅沼は徹が入院した次の日、早速学校の帰りにお見舞いに来ていた。
部活も全てズル休み。
でも、心配だから仕方ない。
「早く早く! 歩いてないで走って!」
病院の前まで行っている美咲が俺達を手招き。
仕方ないので走って移動する。
病院の中に入り、徹が入院する病室の戸を開ける。
頭に白く痛々しい包帯を巻いた徹がいた。
ベッドに横たわり外を見ていた徹は、俺達を見て軽く笑みを浮かべる。
美咲が、
「あら、意外と元気なのね」
と声を漏らすとムッとしたような顔をして頬を膨らませたが。
「元気そうでなりよりだね」
「……純平までそんなこと言うか? 俺はリンチにあったんだぞ、リ・ン・チ」
そんな俺達を尻目に、浅沼が果物入りのバスケットを取り出す。
「これ、俺らからのお見舞い。 美味しく食べろよー。
……あ、ごめん俺もう行くわ」
そして、そそくさと病室を出ていく。
徹は、その後ろ姿をしばらく眺めてからポツリと言った。
「……遥、今日も学校来てないのか」
「……うん」
「そうか……」
俺が返事をすると、徹は不安そうな顔をした。
それを見かねてか、美咲が胸をドーンと叩く。
「それは今調べてるのっ。 心配なら早く怪我直しなさいよ」
「それもそうだな」
それからは、ずっと駄弁っていた。
なんだか久しぶりに三人で笑ったような気がする。
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