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手錠とスカート ⑦
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十六夜君に手を引かれて学校を出る。
濡れた髪が少しスースーして寒かったけれど、街行く人達の視線が痛かったけれど、そんなの屁でもない。
繋いだ手はぬくぬくしていたし、なにより学校を飛び出して少しワルになった気分だ。
「何処へ行くの?」
「んー、何処行こうか?」
僕が見上げると、十六夜君は頬に手を当てて少し考えた。
そのポーズも決まっている。
僕がやっても子供のままごとみたいにちぐはぐになってしまうだろう。
「……あ、そうだ」
不意に顔を上げた十六夜君は、僕にちょっとはにかんでみせた。
結局その日はゲームセンターに行き、遊んだ後の僕らはカフェに来ていた。
ロココ調でなかなかいい雰囲気のお店……中学生が来るような所じゃない。
ブラックコーヒーをすする十六夜君の顔を伺い、オレンジジュースを喉に流し込む。
……そういえば、この人はなんで僕なんかに声を掛けたんだろう。
…………こんな面白味のない僕に。
いつの間にか、随分自分のことを卑下するようになっていた。
「……どうしたの? 顔色悪いけど……あ、無理に連れてきちゃったから……?」
「……いいえ」
「じゃあ、なんで……?」
十六夜君は、僕のことを心配そうに覗き込んでいる。
こんないい人に、こんな顔させちゃだめだ。
「なんで僕なのかなぁって……思って……」
自分で言って、その声の弱々しさにビックリした。
僕、この前まであった威勢はなくなっちゃったんだなぁ。
十六夜君はコーヒーを机の上に置き、隣に座った僕の肩を抱く。
「……それ、言わなきゃだめ?」
耳元で囁かれて、胸がトクトクする。
「君のことが、好きだからだよ?」
心の中で、スッコーンという音がした。
これは、恋に落ちた音というやつかなんだったのか……それは分からない。
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