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手錠とスカート ⑨
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また、呼び出しかぁ……こういう時は確実に教室の外で暴力が待っているのだ。
まぁ、中学一年生の考える暴力なんてたかが知れているが──。
放課後、憂鬱な気持ちで体育館の裏へ向かう。
誰も居ないのを確認し、少しだけホッとしてしまう。
けど、痛いのが早くくるか遅くくるか変わるだけだ。
なにをホッとしているんだ……
と、そんな僕の後ろで砂利を踏みしめる音がした。
素早く振り返り身を固くする。
「……あ、そんな警戒すんなよ」
「児嶋!?」
そこには、肩を竦めながらこっちを見ている児嶋がいた。
思わず拍子抜けするが、まだ警戒を解くのは早い。
児嶋がこっちの味方なんてあり得ない。
僕がジリジリと後ずさっていくと、児嶋はどんどん近付いてくる。
「おい、来んな!! 殺すぞ!!!! 近付くな死に損ないが!!!!」
なにが死に損ないだ!!……自分にツッコミを入れてみる。
けれども、パニックになってしまって口からは幼稚な罵り言葉しか出てこない。
児嶋は困ったように僕をなだめる。
「……おい、聞け。 聞いてくれ」
「…………はい」
「お前……さ、俺のこと許してくんねぇかな」
一瞬、その言葉の意味が分からずに頭をかしげる。
どういうことだ。
「どういうことだ」
「いや、なんか……お前口きいてくれないし……」
……いや、児嶋だけじゃなくてクラスの奴とは口ききたくないんだけど。
──いや、でも。
児嶋は一回も僕のことを悪く言ったことはない(僕が見たことがないだけかもしれないが)し、相当鈍い。
「俺、なんかお前のこと怒らせたか? それなら謝るから!!」
「児嶋……」
まるで何にも気付いていないかのように振る舞っている、そいつの顔を見る。
「許せよ、桜井!! もう馬鹿にしたりなんてしねーから!!」
……まぁ……こいつなら、安全かな。
「……ありがと。 僕、怒ってないけどね」
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