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手錠とスカート ⑪
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今日は、部活がない。
放課後になり、暇なのでプラプラしていると空き教室の前に来ていた。
特に用もないので普通に通り過ぎようとすると、教室の中からガタッというなにか落ちたような音がした。
それと、誰かの、呻き声の様なものも……
気になって足を止め、そのボロボロの扉を凝視する。
次第にその呻き声は大きくなって、背中の辺りがゾワゾワしてくる。
……これは、よく怖い話であるシチュエーションじゃないですか。
扉を開けた主人公は何を見るんだっけ?
ちょっとの好奇心で、今も尚音が鳴り続けている教室の扉を開けてみる。
そして、薄暗く埃っぽいそこに一歩踏み出す。
キョロキョロと周りを見回すと、ガタガタ音がしている方向に誰かの手が見えた。
「さくら……い……ッ! にげ……ろ」
僕が目を見開くと同時に聞こえる、絞り出したような声。
聞き覚えのある、ちょっと鼻詰まりっぽい声。
「児嶋!? そこに居るのか!?」
思わずそう叫ぶが返事はなく。
さっき見えていた手も、ぐったり床に脱力している。
とにかく非常事態。
状況を確認したいところだが、足が棒のようになって動かない。
まるで最初から動かないような錯覚に陥る。
──ドサッ、ガサッ。
少し開いたカーテンから漏れる逆光に照らされ、派手に音を立てて一人の人物が立ち上がる。
体を強ばらせた僕に、一歩……また一歩と近付いてきて、意味も分からず押し寄せる恐怖で涙目になってしまう。
「……待ちくたびれちゃった」
さんさんと西日を降り注いでいた太陽が、雲に隠され一旦翳る。
その人物の顔が、ハッキリと見えた。
「ねぇ、この子どうしようか? 多分死んではないと思うんだけど……
邪魔でしょ、始末しちゃおうか」
何故か手に血をベッタリ付けて微笑む、聖次君がそこにはいた。
「遥、何か言ってよ」
「……なんで、こんなこと」
児嶋は、児嶋は……どうなっちゃったの?
優しい聖次君に、なにをされたの?
聖次君の手に付いた血を見て、それを訊くのは怖すぎる気がする。
「こんなことしてただじゃすまないんだからな!! 警察に捕まっちゃうんだから……ッ
児嶋が……児嶋……こじ……ングッ!?」
伝いそうになる涙を必死に堪え、聖次君を睨み付ける。
が、急に口を手で封じられなにも言えなくなる。
「遥」
急な展開にショックで堪えきれなくなった涙。
静かに、聖次君の手を伝っていく。
「好きだよ」
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