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過去の記憶 翔side
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『おかぁさぁん……』
あの頃の記憶が蘇る。
そう、それは俺が小学2年生の頃の事。
〜〜〜〜〜〜〜
『おかぁさん。そんなに荷物持ってどこ行くのっ?』
俺は何も知らず、大きい旅行用バッグを持って玄関の扉を開けるおかぁさんに話しかけたんだ。
『翔…⁉…っ……ごめんなさいね、私…もう耐えられないの…』
小学2年生の俺はおかぁさんが言ってる意味が分からず、頭に?マークを浮かべるだけだった。
でも、何か嫌な予感はした。
おかぁさんが泣いていたから。
『ねぇ、何で泣いてるの?どっか痛いの?』
俺がおかぁさんのそばに行こうとすると、「来ないで」と言われた。
『翔…こんな悪いお母さんでごめんなさい。でも、悪く思わないで。あなたはきっと強くなれるわ…』
おかぁさんはそう言い残すと、家を出て行った。
そして、俺はおかぁさんが帰って来るのをひたすら待った。
けど、帰って来なかった。
夕方ぐらいに兄である秀(しゅう)が帰って来たけど、おかぁさんはいつまで経っても帰って来ない。
『おにぃちゃん…おかぁさんは?まだ帰って来ないの?』
俺は泣きながら聞いた。
するとおにぃちゃんは悲しそうな顔をしてこう言った。
『翔…お母さんはもう帰って来ない。俺たちを見捨てたんだよ…』
はっ?_____
『えっ…何を…言ってるの…?』
俺はその言葉の意味が分からなかった。
『だからっ…あいつは俺たちを見捨てたんだよっ…』
おかぁさんが_____
俺たちを見捨てた?_____
最初はどういう事かさっぱりわからなかったが、次第に理解してきた。
俺の頬を一粒の涙が流れた。
俺たちは2人だけだ_____
子供2人で生きていけるの?_____
『っう、ひっく…うわああぁぁんっ‼』
俺はおにぃちゃんの腕の中で声をあげて泣き続けた。
〜〜〜〜〜〜〜
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