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糸
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私には6人のオジがいます。
その中で1人だけ、先に亡くなった伯父さん(小さい頃はブーのおっちゃんと呼んでました。ブーは幼児語でブーブー、つまりは車です)は、私が物心ついた時には『居ないのに、皆を無言にさせたり、泣かせる』特別な存在でした。
ゴンタな父とは真逆、几帳面で慎重派だったおっちゃんは、なかなか彼女が出来ず、今でいう『婚カツ』の為に茶道を習ったり、祖母の習う踊りの会を観に行ったり。色々やった挙げ句、弟(私の父)の嫁(私の母)の親戚と結婚する運びになったそうです。
が、新婚間も無いある日、仕事の帰りにトラックにはねられ、即死。(余談ですが、この時から我が家の家訓は『轢くな、轢かれるな』になりました。)
「こんな事になるやなんて…出会わせた私らのせいや。申し訳ない。」と、当時ウチの母はおっちゃんの奥さんに泣いて詫びたそうです。
お葬式ではしゃいだ兄貴が私の肩を抜き、祖母は慌てて骨接ぎ屋さんに駆け込みました。
おっちゃんの命日には皆でお寺へ詣って、その後、必ず行く喫茶店がありました。カウンター席の椅子は高く子供には座り心地が悪かったのに、従兄妹達と競うようにして座ったこと。
注文しなくても、子供の数だけ出てくるレモンスカッシュは、炭酸も酸味も強くて、幼い我々にはなかなか飲み干せなかったこと。
その喫茶店のママが、実はおっちゃんの奥さんで、其処へ入るなり、皆無言になってぎこちない雰囲気なのに、その場にいる誰もが、なかなか帰るタイミングが掴めなくて困った様子だったこと。
私が育った実家は、元々おっちゃんが自分と親の二世帯同居の為に建てた家だったこと。
そして、その家からは母の実家が程近かったので、毎週末のようにそちらへ行って、畑や川で遊んだこと。
昔、実家にあったクリスマスツリーは、おっちゃんがプレゼントしてくれた物だったこと。
我が家の建具を直す時、やって来たのはおっちゃんの旧い友達だったこと。
晩年、父が「あの日、皆が止めるのも聞かんと、どうしても信じられへん、納得出来ん!て無理矢理、兄貴の棺の中を見たのは、間違いやった。あれだけは後悔しとる。」と言ったこと。その父の最期の顔はやたら安らかだったこと。
どこからともなくヒョイと出てきた糸の端が
繋がって絡まって
ぐるぐると
いつまでも止まらない。
上手くは纏まらないけれど、まぁいいんちゃう?
なんて言うたら、おっちゃんに怒られるかな?
あ、その前に全くBL要素が無い!と、読んだ人がガッカリしそうな内容ですねww
(-人-)失礼しました。
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