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墨
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ウチの兄は、ギッチョ(左利き)で、カナクギ流の師範になれそうな字をよく書いた。
『リかウか判りません。1かイかも判りません。もっと落ち着いて書いて下さい。』
とテストに書かれるまでに至り
そこでナゼか親の目は、私へ向いた。
『女の子が、あんなカナクギ流じゃあ、ラブレター貰った男がガッカリだろ?』
なんだかよく解らない親父の理屈で、小1の私は、母の知り合いの開いている書道教室に通うことになった。
正座も、字を書くことも、あまり好きでは無かったけれど、教室の雰囲気はキライでは無かった。
その内、毛筆をやるようになって、墨を溢したり、畳や襖を汚したり、数々の失敗をやらかしたが、先生は慣れていたのか、いつも笑って許してくれた。
同級生の男子と鼻息荒く競い合い
自宅や学校での出来事を喋りたおす
そんな私も
ナンダカンダで、墨の匂いがすると、スッと気が引き締まるようになった。
けれど
何にも考えずに書いた
一番最初の字が一番良い
と言われる位、練習も添削もあまり意味がない
才能などまるで感じられない私の字は、さして上達しないまま。
中3になっても、賞は貰えないレベルにとどまった。
つまり、最初の親の心配は全くの杞憂だったんじゃないか?という…(笑)
因みに、最近見た親父の遺言メモは、どうしてこうなるの?という妙な癖がある字でかなり読みづらく
どっちかっていうと
親父が書道を習うべきだったよね?
という話になった位だった。
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