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謎
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その日も、いつも通りオレは駐輪所にチャリンコをとめた。
―ん?
ロックをかけた時
何となく視界に入った白いチャリンコ。
―後輪のホイールが変な色だ。
何かでひどく汚れてるような…
―あれっ?
サドル辺りの白いフレーム部分を見たオレは、その場から動けなくなった。
―あか?
赤っていうか、何だろこの色。
―ち。血かっ!?
ま、まさかだろー?
てゆうか、それって、つまりは、…どゆこと?
オレは、目を見開いたまま固まった。
―そう言えば前にも
駐輪所のこの辺りに、赤っぽい何かを引き摺ったみたいな跡があったっけ…。
―アレと、何か、関連あんのかな?
自分で考えたクセに、その想像がやけに恐ろしく感じた。
―いやいやいや!
ソレはちょっと、可笑しいし。
第一、怖すぎんだろ!?
一目散に自宅へ駆け込んだ。
―ふぅ。
「あ。おかえり、タカシ。…なんかあった?」
「あ、うん。今ちょっと変なの見ちゃってさ…。」
止せば良いのに、オレはシェア仲間のケンにさっき見たことを話してしまった。
「どれどれ。」
「駄目だ!やめとけよ。」
面白がって、駐輪所に行こうとするケンをオレは引き留めた。
「だーいじょぶだって。何ともねえよ。」
3分後。
ニヤニヤしながら、外から戻ったケンは
「ありゃあ、ただの錆じゃね?」
と宣った。
「でも、あのチャリンコ、まだ新しいしさ。他の部分には全然、錆なんか無かったろ?」
「ハイハイ。じゃあ、血だとして。それがなんだって言うのさ?」
「あのな。ホイールにベッタリつく位の量の血だぞ?乗ってた人が何にも気付かない訳がないし。普通、自分の物に、血をつけたままにしておくかよ?」
「ふむ。…言われてみれば、確かに、そうだよなぁ。」
ケンはふと真顔になって、オレにこう言った。
「でもさぁ、なんで後ろのホイールにしか、ついてないんだろ?おかしくね?」
「うん、オレもそれは思った。」
走ってきたチャリの後輪に、水風船でもぶつかって、弾けたのか?
でも、それって何の実験よ?
頭の中がまた謎で埋め尽くされる。
「…でさぁ。実は、あの自転車の持ち主って、お隣さんなんだよな。」
徐にケンが右隣を指差した。
「えっ!?ちょ!…ウソだろ~!」
「いや、マジで。この前、お隣さんが乗ってくとこ、見たし。」
「……。」
「お隣さんてさ、たまに、胴着とか、グローブ干してたりするよな?」
「ああ、それ。オレも何回か、見たことある。」
鮮やかな青いグローブなんて物がベランダの物干しに掛けてあるなんて、珍しい光景だったから、よく覚えていた。
オレたちは、無言で顔を見合わせた。
「なんか飲もうぜ。」
「う、…あぁ、そうだな。」
ケンに言われて、オレは自分の喉もカラカラなことに気が付いた。
「ゎ、いん、じゃない!…焼酎でいいか?」
ヌーヴォーだか何だかを冷蔵庫から出そうとした手を止めて、ケンが振り返った。(ロゼだか赤だか知らないが、ヤツも今は見たくない気持ちだったらしい。)
「ああ。」
スダチを搾ったお湯割りを1杯飲み終わると
オレたちはサッサと眠ることにしたのだった。
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