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家出のツナくん
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家出のツナくん
カツカツカツ
イタリアのボンゴレ本部から離れたところに建つ9代目がいるボンゴレの城に革靴の靴音が響き渡る
「!?……綱吉様!いつ此方へ?!守護者の方は御一緒ではないのですか?」
「ああ、1人できた」
その時、ツナの姿を見て集まってきた部下たちは皆思った
いつもの綱吉様よりどこか表情が硬い…
というか怒っていらっしゃる…?
あの温厚で有名な綱吉様が珍しい…
「護衛もつけずにお一人で来られたのですか?!」
「あー…いや、ちゃんと護衛はつけたから」
目を反らせながら言うツナ
だが周りはツナの嘘には気づかないようだ
「驚かせないで下さい…」
皆がほっと胸を下ろした
ドン・ボンゴレが1人で出歩くなんてあり得ない事だ
「それで、今日はいきなりどうされたのですか?9代目に呼ばれて?」
「いや、俺が急に来ただけだから。みんなは気にしなくていい、仕事に戻ってくれ」
そう言われツナの元に出来ていた小さな群れは渋々ばらけていった
「綱吉様」
「……ニーブラウさん」
「部下が慌ててくるので何事かと思えば、一体どうしたのです。気分を害されて居られる様ですが…」
「…俺だって、たまには怒るんだ」
「は、はぁ…」
「……9代目は?」
「いらっしゃいます。こちらです」
ガチャ
重そうな音を立て、分厚い扉が開く
「やぁ、綱吉くん。久しぶりだね」
「お久しぶりです、9代目。お元気そうでなによりです」
眉間に皺を寄せたままのツナに苦笑いのニーブラウ
「綱吉くんも元気そうじゃが…今日はどうしたんだい?おじいちゃんは来てくれるのはとっても嬉しいことだけど護衛をつけずに1人で来るのは関心しないのう」
「だって……」
「ん?」
「………家出、した」
「「………え?」」
「だから!家出したの!」
9代目は笑顔のまま固まった…
「だから今日はここに泊めて欲しい」
「……ケンカでもしたのかい?」
「ケンカなんてしてない、俺がキレただけ」
「そうかそうか。それにしても綱吉くんは拗ねた顔も可愛いね」
「怒ってるの!!拗ねてんじゃないし!」
そう言ってソファーの元へ行きに寝転がってしまったツナ
それと同時にコンコンとやや低い音がした
「入りなさい」
「失礼します」と言って入ってきたのは他の守護者たちだった
「9代目、10代目がいらっしゃっていると言うのは本当ですか」
「なんじゃ、もう知れ渡っているのかい?」
「ええ、部下たちがそわそわしてましたよ」
「ふふ、相変わらず綱吉くんは人気ものだねぇ」
「一目10代目にお会いしたいというやつは多いですから」
「綱吉くんはあそこだよ」
そう言って9代目は奥のソファーをさした
「……どうかされたのですか?10代目は」
「ふふ、」
「??」
コヨーテは最初からいたニーブラウに視線を移した
「…家出、なさったらしい」
「……」
理解出来なかったのか首を傾げる守護者
「家出だ」
もう一度ソファーに目を向ける
「綱吉くんはだいぶご立腹の様だね」
「9代目、楽しそうに言わんで下さい…。どうされますか?本部の守護者の方に連絡しましょうか」
「いや、今日は綱吉くんの好きなようにさせてあげよう。いつもあの守護者たちやアルコバレーノ、ヴァリアーを相手にしておるんじゃ、綱吉くんも溜まるものがあるじゃろう」
「それに…」と、守護者たちの方を向いて
「明日は綱吉くんの誕生日じゃよ?可愛い孫の誕生日を祝いたい!それに今日はリボーンの誕生日。毎年わしの誕生日には綱吉くんから手紙しか貰えないのにあやつは綱吉くんが14歳の頃から祝ってもらっておる!ズルいと思わんかっ!」
「だからまだリボーンたちには秘密じゃ♪」とお茶目にウインクして笑う9代目に守護者たちは呆れる
だがツナを祝いたいと思う気持ちは同じ
「ケーキなどの料理を準備いたしましょうか」
「ああ、シェフには綱吉くんの誕生日だからいいメニューにするよういっておいてくれ」
「承知しております」
「あと、ワインを持って来てくれるか」
「今ですか?」
「ああ、綱吉くんと語り合いたいからのう」
「わかりました」
「9代目ー、俺らも御一緒していいっすか?」
「俺らでも10代目とお話しする機会はそうありませんから」
「仕方ないのう…じゃが、明日はわしと綱吉くんの2人きりにさせてくれよ?」
「ええ、明日はお邪魔致しません」
「わかった」
「ありがとうございます」
「うむ。……そう言えば綱吉くん静かだね」
「俺らも挨拶をまだ……」
9代目がツナの元まで行く
「綱吉くん?」
顔を覗き込む
「…ふふ、綺麗な顔して眠っておる。これはまるで天使のようじゃな」
ソファーに肘をつき、腕に顔をのせてツナの寝顔を見ながらニコニコしている
そしてどこからかビデオカメラを取り出してツナの寝顔を撮り始めた
これはもう爺馬鹿を通り越して変態のようだ
「9代目……」
「だが…綱吉様の天使の寝顔、見てみたいぜ」
「お、おいガナッシュ!」
「だってよー」
「ん……」
騒がしい声に目を覚ましたのかゆっくりと目を開けるツナ
「おはよう、綱吉くん」
先ほどまで手にあったビデオカメラは何処へやら
「……9代目…俺、寝てた」
「ふふ、可愛い寝顔だったよ」
「……は?」
ツナの表情は寝る前より機嫌が、悪くなったようだ
そこへコヨーテがワインとそのお供をガラガラと音をたてながらやって来た
「お待たせ致しました」
「綱吉くん、今日は付き合うから日頃溜まってることをおじいちゃんに吐き出してごらん、スッキリするじゃろうからのう」
「……」
「10代目」
コヨーテたちもツナの元へ近づき挨拶をする
「お久しぶりです、今日は我々も御一緒させてもってもよろしいですか?」
「…うん、守護者のみなさんに聞きたいこともあるし」
こうして9代目とその守護者たち、そして10代目であるツナとの飲み会が始まった
守護者たちが9代目とツナのグラスにワインを注いでいき、9代目はゆっくりと、そしてツナはいつも己を取り巻く守護者やアルコバレーノ、ヴァリアーたちの愚痴をまくし立てていた
ツナの愚痴は止まることなく、その間次々と新しいワインの蓋を開けていき、途中できた雲の守護者、ビスコンティを驚かせたりした
約2時間が経った頃
ツナはようやく満足したのか空になったグラスを置き、後ろに深くもたれ掛かった
「あー、なんかスッキリした。ストレス発散出来たかも。俺の愚痴聞いてくれてありがとうございます、9代目、守護者のみなさん」
「そうかい?それはよかったよ」
「10代目、飲み過ぎではありませんか?大丈夫ですか?」
ツナが酒に強いことは知っているが1人で何本開けたからわからないくらい飲み流石に顔を赤らめるツナに心配したのだろう
守護者たちが少し心配げにツナをみる
「大丈夫、まだそんなに酔ってない」
「ならいいのですが…」
「そんなことより!」
「は、はい」
急にがばっと前のめりになったツナに少々驚いたニーブラウ
「守護者のみなさんに聞きたいことが」
「そーいや、最初仰ってましたね」
「そう。」
「なんでしょう」
一度体を引いてまた新たに注がれたグラスを持ち上げ、一口飲む
スッと守護者たちを真剣な表情で見つめるツナにコヨーテたちに緊張が走った
「守護者はーーー」
ゴクリ
「ボスである9代目に愛の言葉とか囁くのか?」
ツナの口から発せられた衝撃的な言葉に9代目も含めて皆が固まった
守護者たちは混乱する頭で考えた
いま、10代目はなんと、おっしゃった?
ー9代目に愛の言葉とか囁くのか?ー
あいの、、、ことば??
誰に?ーーー9代目に?
誰が?ーーー俺たちが?
……………なぜ。
「ボスに愛の言葉を送って忠誠心を伝えるのか?」
「………綱吉くん、気持ち悪いことをいわないでくれ」
「じゃあそーゆうのはボスが同い年か年下の場合だけ?」
「いや、そーじゃなくてね…」
流石9代目と言おうか、守護者たちがいまだ固まる中、すぐに復活しツナに話を聞こうと言葉を探す
「どーしてそんなこと聞くんだい?綱吉くん」
「リボーンが、言ってた」
「…………えーと?」
「俺、いつもいつも守護者や他のみんながそーいう女の人に言うよーな言葉を言ってくるからうざくなって禁止令出そうとしたんだ。そしたらリボーンが、愛の言葉をボスに伝えるのはボスへの忠誠心やどれだけボスを尊敬してるかを伝える手段で、その言葉をボスはちゃんと聞いてあげないといけないって、、、」
「…………」
「でもそんなこと今までリボーンは教えてくれなかったし、9代目だって引き継ぎの時言ってなかったから嘘だろって思った。でも……あいつら前からたびたびそー言うこと言ってきてたし、守護者たちだけならまだしも、ヴァリアーやキャッバローネなんかの他のファミリー、しかもアルコバレーノたちも同じ感じだからさ?めんどくさくて無視してたけど、みんな真面目に言ってたのかなって思って……確認しにきた」
「……リボーン」
「まぁ来るまでに色々あってちょっと腹たっててそっちのけだったけど」
ツナの言葉に9代目はニヒルに笑うリボーンを頭の中に思い描きながら頭を抱え、守護者たちは引きつった顔で苦笑いを浮かべた
「で?どうなの?」
「えーと、……10代目」
「それは……」
「リボーンの真っ赤な嘘だね」
9代目の言葉にその場の空気が5度ほど下がった気がした
「そっか。最近やたらと激しくなってきたからそろそろ…と思ってたけど、俺は別にそれが間違ってた訳じゃないんだ。そっか、そっか、それはよかったなー」
今日初めての笑顔である
しかし言わずがもな、その笑顔は悪魔のようだ(しかしぱっと見は天使の微笑みのようなのだ。ただ溢れ出す鋭い殺気と背後からゆらりと立ち上る黒いオーラの効果故、天使の微笑みは悪魔の微笑みに変わる)
その様子に守護者たちは変わらず顔が引きつり冷や汗が流れているが9代目はいつもと変わらずニコニコと楽しそうだ
「あ、そうだ。帰ったらまずリボーンにプレゼントあげなきゃ。今日誕生日なのになんもあげてないし」
「おや、なにをあげるんだい?」
「そりゃもちろん、あいつの大好きな俺の愛(の拳)」
「ほーそれはいいね!リボーンも喜ぶだろう」
「あいつの愛の言葉に返すため、おれの愛(拳)をいっぱい贈っておれの愛(拳)で幸せにして(気絶させて)あげないとね!それで、幸せになった(気絶した)所でまた更におれの愛(炎)であいつを包み込む(ファーストエディションで凍りつかせる)!」
「じゃあそうすることができたら私にも見せてくれないか?(凍りついたリボーンを)」
「もちろん!あ、でも9代目が見にきてくださいね(あんなの持ってこれない)」
「ああ、わかったよ。しかしせっかく家出してきたんだ、きょうは泊まっていきなさい。そして明日の綱吉くんの誕生日は私に祝わせてくれないかのう?」
「いいんですか?」
「もちろんだよ、綱吉くん」
「ありがとうございます、9代目」
守護者たちは笑顔で言葉を交わす2人を見て何故かリボーンに合掌したくなったという
おわり。
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