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〈物足りない日常〉
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「はぁ〜〜〜〜〜」
ため息をつきながら机にうつぶせる。
「どしたの?」
と親友の隆(りゅう)が苦笑いをしながら聞いてくる。
ため息がつきたくなるのも仕方がない。
テストは赤点ばっかだし部活の試合では一回戦敗退の連続だし、昨日は遊ぼうとして準備をしてたらタイミングの悪い雷。
そして、なにより…。
「…彼女欲しい」
「つくればいいだろ」
…いつも隆はこういうが実際もてないしそんなのは無理だった。
「…簡単に出来ねえよ…」
「いや、お前がもててるの気づいてないだけだから」
…そうだといいんだが。
まあ、隆とはテニス部でペアで同じクラス。だから、仲がいいのもあり、結構相談しあえる仲。
部活が終わる時間頃、テニス部の男子だけで話していた。
「彼女できたら教えろよ!」
「彼女できねえけどな〜」
と話していると先輩が話にはいってきた。
「宏輔ならできるでしょ〜」
…笑顔が印象的な先輩、祐太先輩。
「そうですかね」
といい、その話は終わらせた。…実はこの先輩のこと、苦手だったりする。感情が読み取りづらくいつも笑顔。
…それに優しい笑顔じゃない。…なんかありそうだ。
「これで部活終わるからみんな気をつけて帰れよー、んじゃ、お先に。」
この部活でゆういつリア充の榊一誠先輩が先にかえる。…彼女と帰るんだろうな。
「いやー、一誠先輩はいいよな〜リア充で」
「かっこいいしモテモテだから当たり前だろ」
…身長のわりにイケメンでなんか大人っぽいイメージ。俺より10センチくらい小さいのにな。
「まあ、俺らも帰るか。」
そう隆がいうと全員玄関へとむかった。
「迎えくる人〜?」
すると、ほぼ手をあげた。
…あれ、今日、親夜勤じゃん。
「車乗せてくんね?」
と隆にいうと申し訳なさそうに
「今日、おじいちゃんの家いくから無理だわ〜ごめん」
財布をみると電車代がなかった。
…バスカード…あれ、どこいった。
一気にあせる。…方向が一緒な人は…。
「宏輔迎えくるの?」
「あるんで大丈夫です。」
…祐太先輩しかいなかった。
でも、絶対に絶対に関わりたくない。なんか、悪い予感しかしない。
でも、このままじゃ俺帰れないんだよな?
意地はってる場合じゃないよな…。
「…もしかして、俺のこと避けてる?」
…やばい、ばれた。
嘘をつけない性格からか顔にでていたようだった。
「…そ、そんなことないです」
「降りるとこ一緒だよね、電車。」
…結局、先輩の奢りで帰ることになってしまった。でも、さっき苦手と完璧ばれた。
…気まずい…。
ガタンガタンと電車に揺られながら入り口付近で携帯をいじっていた。
ガッタン!!!
いきなり電車がとまった。その衝撃で転んで、祐太先輩へよりかかってしまった。
「…あ、ごめんなさい!!!」
と急いで離れると真顔になっていた。
…あれ、笑ってな…い…
テニスのプレイ以外で初めてこの人の真顔をみた。
「…俺のことさぁがちで嫌いなの?」
真顔の聞いたことの無い低い声で言われる。
「や、ちが…」
焦りすぎて言葉が出てこない。
それと同時に俺の心臓はバクバク飛び跳ねていた。
着地の知らない心臓。
すると、先輩は半分笑顔で俺のことを見た。
「…んじゃぁさ、俺のこと好きにさせてやるよ。」
「…は?」
普通にでてしまった心の声にまた焦る。
「男でも惚れさせる自信あるからさ♩…んじゃ、俺がこういったってことは誰にも言わないでね〜」
といつもの笑顔に一気に戻る。
…なんて、恐ろしい人なんだ…。
てか、嫌いな先輩を好きになれというのも無理がありすぎる。
というか…。普通に女の子が好きな奴に男を好きになれというやつもどうかしてる。
電車のドアが開く。
展開が早すぎて読み込めない。
…でもこの時はなにも気づかなかった。
これから祐太先輩…、改め、この腹黒男と
長い付き合いになるとは。
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