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〈雨空〉
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今日はなんだか気分がよくない。
イライラするし、湿度が高くてムシムシして、セットしてきた髪もぐちゃぐちゃ。
そのせいで癖っ毛が大惨事だ。
「今日のお前の髪やば!」
「うるせぇ…」
めっちゃ気分下がる。
そして、雨のせいでトレーニングになり、10分ダッシュを3セットもやる始末に。
「ボール打ってた方楽しい…。」
「あ、俺、今日歯医者だから休むから」
「抜け駆けなんて許さねえぞ!」
…まぁ、こいつ部活サボるようなやつじゃねえから、本当に歯医者なんだろうけど。
「帰り2人きり頑張れよ。アタックするんだぞ。」
…やばい。昨日のこと、絶対勘違いしてる。
「いや、片思いしてるわけじゃ…」
「え?!付き合ってるのか?!」
「そうじゃなくて!」
移動教室の時間になり、教室をでる。
「あー本格的に雨降ってるなー」
…あれ、傘ってもってきたっけ。
あ、先週持ち帰り忘れたやつでいいか。
「あれ、祐太先輩と…え?!」
と隆がいう。興味がないはずなのに
いそいでみてしまった。
「あれって咲先輩じゃん。可愛い〜」
咲先輩は確かサッカー部のマネのめっちゃもてる人だっけ。
ふわふわのロングの髪にくりくりとした目、
そして、なんといっても可愛い笑顔。
「あれは、付き合っててもおかしくないわ…」
「は?!付き合ってんの?!」
すると、隆は、
「そういう噂だけどね」
といった。…付き合ってるなら俺にちょっかいを出すのはおかしくないか?!
…すると、なぜかイライラしてくる。
リア充という分際の人だからか?!
…でも、なにか違うような気がした。
「隆、行こう。」
そういい、その場を立ち去った。
…すごいニコニコして話してた。幸せそうだったな。俺にはきつい態度しかとらないのに。
…いや、今までだったら別に気にしてなかっただろ!
…自問自答を繰り返しながら自分の頭の中でキスのシーンを思い出す。
…やばい…ドキドキしてきた…。
「あー…彼女作らなきゃなぁ」
と誤魔化すように自分に言う。
クルクルになった髪をわけた。
部活も走って転んだり、息切れがすごかったり。
隆がいたらこんなの笑い飛ばして頑張れよっていってくれてたのに。
あいつはタイミングの悪い歯医者。
「…今日一緒に帰らね?」
ドキッ!!!
「べ、別にいいですけど…」
すると、ニコッと笑い、「よかった」といった。
勘違いさせるのこの人うまいなぁ…。
そして、きつかった部活も終わり、先輩を待つ。
「おっ、待っててくれた。」
「約束しましたからね」
といい駅へ向かう。
…会話は一つもなく、シーンとしている。
先輩をみるとキスシーンばかり思い浮かぶ。
「あ!咲先輩と付き合ってるんですか?」
とわざと明るめに聞く。
「…え?なんで…」
「いや、噂あるって聞いたんで!」
すると、祐太先輩は少し困った顔をした。
…あ、やっぱり、付き合ってるんだ。
「じゃぁ、キスも彼女にしかしちゃいけないですし…やめましょう?」
というと俺の腕を祐太先輩が強くつかんだ。
「…や、待てよ」
「いや、それに俺が先輩を嫌いだから好きにさせるって話なのにキスする必要なんてなかったのに…」
「んじゃぁ、なんで泣いてるの?」
…最悪だ。
「雨です」
「今は雨降ってないけど…」
すると、先輩は俺の涙を人差し指ですくった。
「…好きになっちゃったんだ?」
「大嫌いです」
「どこが?」
「考えてることがわからなくて腹黒くて意地悪で変態なところ。」
…のくせにハマってしまっている自分は…
ってあれ。
今…ハマってるって…。
いきなり走りだし、先輩から離れる。
「宏輔?!」
やばい。…やだ。
走り、違う道の物陰に隠れる。
「うぐっ…ぐすっ…」
小雨がパラパラ降り出してきた。
…もう先輩との賭けは終了したんだ。
そのとき、誰かにみられてたなんて気づきもしなかった。
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