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〈安心を求め〉
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「...ということがあって...まぁ...その人と先輩の家から帰った時会ってしまって...。」
全てを説明すると俺は具合の悪さに襲われていた。
やっぱ、鮮明にあの目を思い出すと気持ち悪い。
「...お前はさぁ、そいつにそういう事されて嫌だったんだよな?」
「はい。」
すると、先輩は俺を抱きしめた。
...先輩の匂いがする。安心する匂いだ。
「...俺に最初された時、嫌だったよな。」
最初は遊びだった俺らの関係。
電車で嫌いな先輩と一緒に帰ることになってしまいには、「落としてみせる」だなんて言われて。
結局お互い本気になってしまっているわけで。
「最初はトラウマ思い出したりもありましたが、俺は先輩のこと......」
ピタッと止まった。
...俺今、恥ずかしいこと言おうとしてる...?!
「あ、なんでもな...」
「...言って。」
先輩が俺を見る。
「...俺今、すげー不安だから...言って?」
そうだ。昔の話されて男との恋愛にトラウマがあるのに今、男と付き合っている。
普通に考えていつトラウマが蘇るかわからないし、いつふるかもわからないという状況だ。
まぁ俺はそんな無責任なことするつもりないけど。
「...俺は...祐太先輩が好きなんで嫌いになるとかないです。」
あんなに無視されても計算高い女に邪魔されても、俺は先輩が好きだった。
...忘れようとしても無理だった。
「...宏輔...俺余裕なくて...ごめん...。昔のことで嫌だったことって宏輔はきっぱり言ってるのに、いつそいつが宏輔をさらいに行くのかって考えたら...。」
先輩は俺をギュッとひきよせ、力強く身体を密着させた。
...先輩の余裕のなさが伝わってきた。
こんなに余裕のない先輩初めてかもしれない。
「...もし...あいつがさらいにきても...」
でも、俺が一番好きな人は...
「先輩は必死に俺を引き止めてくれるって信じてるので」
先輩だから。
「なので、先輩がどこかに行きそうになった時、俺は必死に先輩にちゃんと好きだって伝えま...」
言い終わる前に唇に暖かい感触があった。
俺の頬に暖かい雫が落ちた。
...先輩も不安なんだ。
「...わりぃ、俺ださい...」
ダサくてもあなたのその優しさが変わらなければ
俺は大好きです。
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