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俊明がとっさに体をそらすと、椅子の背もたれが思ったよりもリクライニングした。
良い椅子だな。
目前の獣に全神経を集中させながら、頭の片隅ではそんな呑気な事を考える。
逃避行動だろうと、考えることすら逃避なのだろう。
悟が無言で片眉を持ち上げた。
「いや・・・ほら、コーヒーが」
手に持ったままのグラスを軽く振ると、カラカラと氷が自己主張した。
悟の視線がグラスに移った。
至近距離の捕食者からの眼光から解き放たれて、俊明の緊張が途切れる。
と、ゆっくり視線を戻した悟が、極上の笑みを浮かべた。
怖い。
本能がシグナルを鳴らしている。
危険だ。
だが、退路は、その危険物の向こう側。
「問題ない」
悟の手が優雅に動いて俊明からグラスを引き取る。
「アッ・・・!!」
その行方を目で追う俊明の口から、短い声が漏れた。
胸から腹。
腿。
膝。
琥珀色の冷たい液体が水滴となって落下し、服に染みを作る。
グラスがカーペットの上で、ゴンと鈍い音を立てて転がった。
散乱した氷が蛍光灯の光を反射して、キラキラとカーペットを彩っている。
下を向いて、その一部始終を呆然と見ていると、大きな手で顎をすくわれた。
珍しく真顔の悟に、声を上げたまま小さく開いていた唇を噛み付かれた。
「・・・ンッ・・・ふ・・・・・・」
深くまで差し込まれた温かい舌に、ねっとりと口内を探られる。
この状態で刃向かう気のない俊明がそっと舌でそれに応えると、あっという間に絡めとられてきつく吸われた。
鈍い痛みと共に、くらくらとするような興奮を覚えた。
唾液が立てるぴちゃぴちゃと言う水音が、パソコンのファンの音に混じる。
お互いの舌を擦り合わせて、ざらりとした感触とぬめりとした感触を味わう。
性感を誘うその感触に、俊明の体に熱が篭る。
若々しい下半身はてきめんに反応していた。
悟のキスは、乱暴な様でいて、丁寧だ。
荒々しい刺激も計算のうちなのだろうと思う。
俊明も年相応の経験はあるつもりだが、到底敵わない手管に翻弄されてしまう。
「・・・・・・っふ」
離れていく悟の瞼を見つめる。
薄い皮膚に血管が透けて見えた。
その奥の瞳に宿っているだろう色を想像して、俊明の呼吸が更に上がる。
「・・・コーヒー・・・」
「どうせ汚れていようがいまいが、クリーニングするんだ」
「・・・・・・服」
「買ってやる」
自分勝手な悟の行動に、なすがままなのが悔しくて、口先だけの抵抗を試みた。
勿論、無駄な事とは分かった上で。
「冷たいんだけど」
じっとりと悟を睨み付ける。
その視線を受けて、嬉しそうに悟が笑った。
「じゃあ、脱がねえとな」
この・・・エロオヤジ!!
声に出さなかっただけ、褒めて欲しいと思う。
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