アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
3-2
-
ベッドにあぐらを掻いて壁に背を預ける。
隆雄はだらりとした姿勢で、卒業以来一度も見ないままクローゼットにしまい込んでいた卒業アルバムをめくった。
Bクラスの全員の顔写真が並んでいるページは直ぐに見つかった。
一つ一つをぼんやりと目で追うが、名前も顔もピンとこない。
「7年」
そんなに経ったのかと、不思議に感じる。
たいして成長していない。
自分の顔写真を発見して改めて思う。
少し、髭が濃くなったくらいか?
相変わらずオタクだし、ぼっちだし、コミュ障だ。
まあ、そんなことは、どうでもいい。
アルバムの写真に目を走らせる。
「・・・名前・・・」
あれ、何だっけ。
ここにきた目的は、最近、何故だか自分に付きまとう男の写真を探す事。
なのだが、名前が出てこない。
確か名乗っていた。
そう、名乗っていた記憶はある。
しかし、何と名乗ったかの記憶がない。
初めて、その男が家に訪ねてきた時、隆雄はパニックに陥った。
普段、隆雄を訪ねてくるのは宅配便のドライバー位。
それも、大抵は事前にメールでお知らせが来る便利な世の中だ。
だから、突然やってきたそいつの所為でパニックに陥るのも仕方がない。
そんな隆雄に男は名乗った。
つまり、まあ、記憶しているわけがないんだ。
「どうするかな」
一通り、男子学生の顔に目を通すがぱっとしない。
名前を読み上げてみても、聞き覚えがあるのかないのか。
18分の1の確率なのだから、何となくで分かりそうな気もするのに、ダメだった。
今日の苦労が、徒労に終わるのは構わないのだが、目的が達成できないのは困る。
今までぼんやりと男の存在を受け入れてきたが、昨日、人に説明することで、改めておかしな状況だということを認識した。
どうしたらいいのか分からない。
とにかく少しでも情報を集めなければ、分からないことだらけなのだ。
「直接、聞く?」
「何を?」
「!!!?」
突然、語気の荒い女性の声がした。
びくりと隆雄の体が硬直する。
「こそこそ何やってんのよ、あんた」
扉に手をかけた長身の女性が隆雄を睨みつけていた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
20 / 38