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オーバーな仕草で百合がため息をついた。
「まあ、観念して今日は泊まって行きなさいよ。あの人うるさいから」
「あ、そうそう!玄関のところでお兄ちゃんの靴見つけてね、凄かったんだから」
ニコニコ話すさくらに、百合が額に手を当てた。
隆雄もその場面を想像する。
「見開いた目から涙ぽたぽた落として、何事かと思っちゃった」
そもそも、実家が留守中を狙って来たのには、特にあの人に遭遇するのを防ぐ為だったのに。
「・・・降りていきたく、ない」
「うん、まあ、・・・生きろ、サダオ」
階下から微かに聞こえる奇声に冷ややかな視線を向けながら、百合が突き放す。
「お兄ちゃん、たまにしか帰ってこないから余計にパワーアップしてるよね。こまめに帰ってきてみたら?」
笑顔のさくらに気づかれないようにそっと溜息をつく。
それはそれで、加速していくんだ。(経験談)
「たーくん! たーくん! たーくん! たーくん!」
耳元で連呼される。
隆雄は、今、力強い腕の中で人生で何度目かの呼吸困難に陥っている。
「たーくん! たーくん! 元気? 心配してたのよ!!」
涙声の持ち主は、他ならぬ隆雄のチチオヤだ。
普通のおっさんよりも若干声が裏返ってて、隆雄とそっくりの顔面には化粧なんかが施られているが、正真正銘の実父。
密着したチチオヤからはフローラルな芳香がする。
頭にキスを落とされながら体中をまさぐられるのに、なすがまま脱力している。
もがいても体力を奪われるだけだ。
「あなた、隆雄が死んじゃうわよ」
オカマのムキムキした胸板と二の腕で昇天なんてイヤ過ぎる。
柔らかな声音に救われた。
母さん、できたらもっと早く止めてくれ。
「あら、やだ、たーくん、大丈夫?」
無言で頷く。
頭をなでられて、にっこり笑うチチオヤ。
額にキスが降りかかる。
顔が手のひらでホールドされているため、逃げようがない。
「父さん、隆雄、ちょっと貸して。髪の毛切っちゃうから」
「えー、あんまり切っちゃダメよー。たーくんのお顔は隠しておいたほうがいいの!」
「あー、はいはい」
百合が隆雄の腕を掴んで、すんすんとしつこく首筋の匂いを嗅いでいたチチオヤから引き剥がすと、引きずるように風呂場へ向かう。
なんで嗅ぐかな。
鼻息でくすぐったいたらない。
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