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何といわれても、意味が分からない。
「これ・・・誰につけられたの・・・!!?」
耳元で大きな声を出すチチオヤに眉を顰める。
地を這うような重低音がやかましい。
地声に戻ってるがいいのか、オカマよ。
「あー! キスマークだー」
覗き込んできたさくらがのんびりした声をあげた。
「・・・・・・は?」
キスマーク?
皆の視線は、隆雄の首に集まっている。
身に覚えがないのだからキスマークだなんて、そんなものがくっついている訳がない。
そもそも、隆雄は後5年で魔法が使えるようになる予定の、正真正銘童貞なのだから。
「・・・虫さされ?」
膨らんでいないか確かめようと、首に手を持っていく。
どこも痒くもなければ、膨らんでもいないようだが?
「!! そんな白々しい!! 私のたーくんが・・・!!」
チチオヤが床に崩れ落ちた。
エアコンの冷風がやっと届くようになってほっとする。
「ダレ? 誰なの!? その馬の骨は!!」
ずるずると膝にかじりつくチチオヤが上目づかいで睨んできた。
お宮か、あんたは。
お望みとあらば蹴りとばしてくれようか。
・・・実際はそんな大それたことできませんが。
「・・・身に覚えない」
「!! たーくん・・・!! 嘘はヤメテ!!」
恨みがましい目で見られても、ないものはない。
「正直に言ってくれて良いのよ?」
言うべき言葉が見つからず押し黙った隆雄に、チチオヤが声のトーンを変えた。
オカマの猫なで声。
そう言われても困るんだ。
自分では確認できない元凶があるらしい場所に、無意識に手を運ぶ。
どうしたもんだか。
その動きに、オカマが異常に反応した。
ガバリと抱き寄せられると、項に顔を寄せる。
そして――
「あっつぁーー!」
噛まれた!
思い切り!
超!
痛い!
「…はっ、なせっ! 痛い! 痛いっ!」
夢中で暴れるが、押さえ込むチチオヤの腕は緩まない。
百合ねえとさくらが声をあげているが、お構いなしだ。
ヤバイヤバイ。
痛すぎる。
マジで食いちぎられるじゃないか?
「――あなた」
絶対零度の一言に、チチオヤの体から力が抜けていった。
「・・・あ・・・。・・・咲ちゃん・・・」
母ちゃんの笑顔に、オカマの顔が真っ青になっていく。
「ちょっと顔貸して?」
二人連れだって消えた扉の向こうからはチチオヤの絹を引き裂くような悲鳴が聞こえたが、そのおかげで平和な夕餉を頂けたので、気にしないことにする。
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