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喉が渇いた。
むくりと巨躯を起き上がらせると、ぼんやりと扉を開ける。
キッチンの冷蔵庫に備蓄してあるミネラルウォーターが恋しい。
外はすでに明るく、朝と呼ぶには日が高すぎる気がする。
よく寝た。
「・・・・・・」
廊下に顔を出すと、玄関で男が靴を履いていた。
痩身を細身のシャツとパンツで包んで、ストールとハットを合わせるオシャレ男。
モノトーンにピンクの刺し色とか、完璧すぎる。
ファッション誌から飛び出したようなコーディネートは、実生活では意外と滑稽に見えた。
「・・・渥美俊明」
「・・・はい?」
誰だ?
振り向いた男にフルネームで名指しされて、とりあえず返事をしたが、顔を見ても誰だかわからない。
「あの変態に何をした。機嫌が良すぎてキモチワルイ」
「は?」
「――何って、ナニだよな」
「ぅおわ!!?」
アルコールの残る頭でぼんやりと言葉の意味を反芻していると、背後からするりと伸びた手に下半身を鷲掴みにされた。
思わぬ刺激に、大きな声が飛び出る。
顔を顰めた男の反応に思わず口を押さえて振り返ると、悟がにっこりと微笑んでいた。
仕立ての良いスーツに、撫でつけられた頭髪。
いつもの悟だ。
「・・・・・・・・・」
その悟の顔に、昨夜の記憶がフィードバックして重なる。
ドクリと心臓が跳ねた。
「・・・・・・」
慌てて視線を逸らして玄関の男に向き直ると、男が破顔して頷いていた。
「そ・・・か・・・・・・。うんうん・・・そうか。うん、渥美俊明、良かった! よかった! はは! 良かった良かった」
「?」
オシャレ男はポンポンと俊明の肩を叩いて、笑いながら玄関から出て行く。
扉の向こう、男の足音が一歩一歩小さくなって行った。
全く意味が分からない。
何が良かったんだ?
っていうか、本当に誰だよ?
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