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馬鹿な子ほどかわいい
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野崎祥平の不幸は顔の良さに起因して、そして顔の良さによって回避されている。
文にするとなんとも矛盾している。だがしかし、その矛盾さもまた、野崎祥平と言う男を称するにあたって適しているように思えるから、つまりそう言う星の元に生まれてきた男なのだと、野々宮真尋は思うことにしている。
……なんというか、自分自身の精神安定のためにも、そう思うことにしているわけだ。
「なぁ、祥平」
思わずそんなことを考えてしまうくらいには、目の前の光景はちょっとあれだったわけだが、いつまでも観察しているわけにもいかないので声をかけてみる。
と、ベッドの上で、上体を起こした体勢で固まっていた黒い頭がのそりと動いて、野々宮を親の仇のごとく睨みつけてきた。
「言うな、なにも言うなよ、おまえ。マジで頼むから何も言うなよ」
「いや、名前呼んだだけだけど」
「そ、そうか。そうだよな」
「いや、って言うかさぁ、祥平。ケツだいじょ、」
「だぁー! 言うなっつってんだろ、このボケ!」
叫んではたと我に返ったのか、祥平の頭が布団に落ちた。
基本、鉄仮面を地で行っているこの男にしては珍事なことに顔が青かった。
なにこれ面白い。呑気な感想を抱きながら見守っていると、祥平がおもむろに頭を持ち上げた。
「痛くない」
ぼそりと吐き出されたそれに、「いや、嘘だろ」と内心で盛大に突っ込んだが、口には出すのは寸で止めた。
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