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唐突に。
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午前中の授業が終わった。
いつも思うんだが、教師の日本語教育はどうなっているんだ。
聞いていてさっぱり意味が分からない。
これで理解できる他の奴らは尊敬に値するんじゃないか。
仕方がないからいつも教科書に頼ってしまう。
だがしかし、今は昼休みだ。
授業のことは忘れても構わない時間だ。
適当に気持ちを切り替えて、机に掛けてあった弁当を出す。
いつものように一人で本を読みながら食べるつもりだったのだが…………。
「篠ちゃん、一緒にお昼食べない?」
唐突に、俺の前に立った深澤がそう言ってきた。
だから誰だ篠ちゃんて。
「…………何故だ」
あ、やってしまった。
まただ。
またいつものように無愛想(無自覚だがそうらしい)な返事を返してしまった。
人付き合いは苦手だ。
理由もなしに「相手に合わせる」っていうのが、よく分からないから。
そのせいで最低限の会話しかせず、余計に人と関わらなくなった。
別にだからと言って困るわけではないんだが。
「何となく。駄目?」
くっそ可愛い。
…………変態だな俺は…………。
本当は、少し羨ましかったりする。
誰とでも、特に理由も無しに関われる深澤が。
…………まぁ俺の推測では、こいつが他人と上手く関われる理由の半分以上がこの外見と言動だと思うが。
「……………………別に、駄目ではない、が」
そう言うと、深澤は嬉しそうに笑った。
人の誘いを受けるのは、いつ以来だろう。
というか、誘われたことが無いかも知れない。
…………慣れないことをした…………。
でもまぁ、こいつを喜ばせられるなら、たまにはいいだろうか。
こんな、何の意味も無さそうな会話も。
こいつにとって意味があったなら、いい。
「じゃ、行こっ!」
そう言って俺の手を引いた深澤にちょっと面食らった。
てっきり教室で食うもんだとばかり思っていた…………。
「あ、おい。どこに………………!」
ぐいぐい手を引っ張られる。
こんなこと、初めてだ。
そもそも手を繋いだ記憶があまりない。
つか、こいつの手柔らかいな…………。
温かいし。
たまには、誰かと手を繋ぐのも、悪くないかも知れない。
あくまでも、たまには。
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