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深澤と昼休み。
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授業の終わりを告げるチャイムが、いつもより明るく聞こえた。
「では、授業はここまで。次の時に今日の内容をテストするから、しっかり復習しておくように!」
「マジか……」
「テストとかマジだりぃ……」
この国語教師、倉野はいつも授業で小テストをやる。
毎度の事なのに、何故そういう反応をするのかが謎だ。
「起立。……気をつけ、礼!」
「ありがとうございました!」
「やった、昼休みだ!」
「でもまだ午後二時間あんだろ、だりぃ」
「早く行かねぇとパン売りきれっぞ!」
「今日の日替わり定食、何だろなぁ……」
一気に喧噪が押し寄せる。
皆口々に喋りながら、昼食を食べていた。
弁当の包みを開ける者、学食へ行く者、購買へ行く者、様々だ。
ぼんやりとそれを眺めながら机の上を片付けていると、むぎゅっと腕を掴まれた。
そんな事をするのはあいつ位なもんだろう。
振り返ると予想通り、
「……深澤」
深澤がくっついていた。
そのまま体重をかけてくる。
「深澤、ちょっと離してくれ。重たい」
「お昼食べよ、早く!」
急かすくせに腕を離してくれない。
いやだから離せって。
片付けられないだろ。
どうにか片付け終わって、昨日と同じように南側校舎の裏側へ行く。
深澤は始終目を輝かせて弁当の包みを見ていた。
「ねぇ、今日のおかず何?」
「自分で確かめろ」
「だから何で教えてくれないの〜!」
「……食べる時に分かる」
「うぅ〜っ!」
「……ほら」
何だかうだうだ言ってるので、弁当の包みを渡す。
そしたらぴたっと収まった。
何なんだもう。
「えへへぇ……いっただっきま〜す!」
「……いただきます」
勢いよく手を合わせて叫んだ深澤は、早速弁当を開けた。
「わぁ、何これ春巻?」
「……みたいなもんだ」
「ほんとに篠ちゃんは何でも出来るんだねぇ。……はむっ」
やっぱりこいつの食べ方は小動物を彷彿とさせるな。
見てると飽きないぞ。
「……ふわっ?!」
びっくりした……いきなり叫ぶなよ。
「どうした?」
「何か酸っぱいの出てきたぁ……」
何か涙目になってる。
「もしかして、酸味苦手か?」
「んん〜〜〜〜〜っ!」
口を押さえてこくこく頷いてる。
…………事前に苦手なものを聞いておけばよかった……。
「とりあえず、ほら。お茶飲め」
口の中が酸っぱくてどうしようもないって顔をしてるので、持って来ていたお茶を渡す。
急いでんくんく飲み出した。
……何故こいつは動作の一つ一つが可愛いんだ。
ほんとに男か?
そしてこんな事を考えている俺はおかしいのか?!
「……ぷはぁっ」
「治まったか?」
「うん」
「悪い、事前に苦手なもん聞いときゃよかったな」
「ん〜、でも先っぽの方は平気だったよ。真ん中辺はちょっと……」
……今日の内に苦手なものとか聞いておこう。
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