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時間は甘く溶ける。 Ⅶ
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何だかんだでのんびりしてたら、気付いたときには窓の外の空が紅く染まっていた。
ゆったり流れていく雲が、不思議な色をしてる。
空って、こんなに…………。
「綺麗だねぇ」
「…………」
「?」
黙ったままの京の顔を見上げると、柔らかく照らされていてどきっとする。
いつもより、力の抜けた表情。
口元が緩く弧を描いていて。
「……っ、京」
儚くて、どこかへ消えてしまうんじゃないかと不安になった。
綺麗で、儚くて、何だかちょっと苦しくなって。
「京」
ぎゅう、と京の腕を掴むと、優しい唇が降ってきた。
そっと触れるだけの、温かい感触。
「どうした?」
京は、桜の花みたいだ。
「…………どこも、行っちゃやだ」
好き。
「ここに、いる」
「うん」
髪をくしゃりと撫でられて、もう一回、キスが降ってきた。
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