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買い物を済ませ、自宅に戻る頃には少し日が傾き始めていた。
アパートの階段を上がり、ちらっと夜人さんの部屋に目をやる。
すりガラスになった小さな窓からは、灯りは漏れていないようだった。
特に連絡は無かったけれど、今日も外に出てるのかな?
とりあえず自宅に戻りご飯の支度を済ませ、夜人さんの帰りを待つことにした。
今日は遅いな……。
コンコンーーーーー……
その音に半ば反射的にドアへと駆け寄った。
「ごめんね、遅くなっちゃった…」
「大丈夫ですよ。おかえりなさい」
その言葉に少し驚いた様子でこちらを見つめ、照れ臭そうに微笑んだ。
半ば習慣になっていたはずなのに、なんとなくこっちまで照れ臭い。
「夜人さん、パティスリードールっていうケーキ屋さん知ってます?」
「ん、えっとたしか…大通りにあるケーキ屋さんだっけ」
「あ、そこです。今日クラスメイトの子にそこのケーキ貰ったんですけど、すっごく綺麗で美味しくて…。」
「あそこのケーキ、見た目だけじゃなくて味も格別だって評判だよね。」
「夜人さんも食べた事あります?」
「あ……、いや、俺は…」
何かを言おうとして、言葉に詰まった様子だった。
「実は……甘いのは少し苦手で……」
!!
知らなかった。というか、僕は今まで苦手な物の話に付き合わせていたのか…。
そう思うと、すごく今までの事が申し訳なくなった。
「ご、ごめんなさい!…僕今まで…」
「あ、いや違うんだ!…食べるのは苦手だけど、旭くんの話を聞いてるのはすごく楽しいし、スイーツの世界も奥深いんだなって思ったんだ。だから、気にしないで」
「それにね、」
「?」
「旭くんの話聞いてたら、なんだか少し食べてみたいなって思うようになったんだよね。ふふ。だから、 他にも色々話聞かせてほしい」
そう言って、彼は優しく微笑んだ。
気を使ってくれてるのだろうけど、それでもその気持ちが嬉しかった。
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