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雨と美形と平凡と。 01
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夏休みまで、あと数ヶ月。
GWが明けて、梅雨が到来。この時期の登校は怠い。
速水聡(はやみさとし)は、高校生活2年目。
至って普通の男子生徒である。
成績は中の中。体育は若干得意ではあるものの、秀でるものは無い。
もちろん、それに伴って、外見も良くもなし、悪くもなしな、世間で言う"平々凡々"な学生だ。
「梅雨とか…無くなれば良いのに…」
重い足取りで、宙に向けていい放った言葉は、誰にも受け取られずに湿った空気に溶け込んでいった。
ポツリポツリ、と降るのか降らないのかハッキリしない雨と、ムシっと感じる湿気で、更に苛立ちを駆り立てられた聡。
ため息を吐き、最寄り駅の改札を出て、通学路である細道から、大通りへ右折しようと思った時だった。
「ッ…あの!」
目の前に見えたのは、少女の後ろ姿。
制服から見て、聡と同じ高校の学生だと分かった。
声の主が送った先は、聡では無く、少女の前を歩いている長身の男子生徒へ向けてだった。
右折して急に聞こえた声が、一瞬自分に対してかと思ってしまった聡は、足を止めた直後、虚しさで益々気分が下降した。
(うわ~…女の子こっち見てなくて良かった~…)
ホッとしたのも束の間、フと顔を上げて歩みを進めようとした時だった。
長身の男子生徒が、少女の方へ振り返った顔を見て、聡は固まった。
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