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雨と美形と平凡と。 03
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「あ!!神崎(カンザキ)くん!!?」
「ホントだ~ッ!!」
急に甲高い声が目の前から聞こえた。
傘で前が良く見えなかった聡は、傘を上に持ち上げようとした。
その時に ドンッ と前から来た女生徒二人にぶつかり、少しよろめいた聡は、横にあった壁に傘の骨を押し付け、
ボキリッ
下向きカーブの骨の数本が、キレイに90度上向きに曲がった。
(え~…)
今朝のニュースで、夕方の予報は大雨と聞いた記憶があった聡は、その場に固まった。
後ろの女子生徒二人は、神崎と言う名の男子校生に夢中で気付いてない。
(まあ…とりあえず学校まで10分以内で着くから…行こ…)
傘をたたみ、その場を今度こそ去ろうとしたその時、
(あれ…濡れない…)
どしゃ降りではないものの、パラパラと降る雨空の下で濡れる覚悟があったが、予想外に水の感触が無かった。
雨を確認するように片手を上げ、後ろにいた人の気配に気付き、振り向いて声を掛けた。
「…え、何…?」
「何って…傘、壊れたんだろ?」
その態度に、駆け寄った女生徒二人もビックリしている。
「あぁ…ありがとう。でもいい「ついでに一緒に学校行ってやるよ」…は?」
声を掛けてきた女生徒に「じゃあ」と片手を上げ、固まった聡の腕を引いて、その場を去る。
(イケメンだが…なんで俺が初対面の男と相合い傘で登校しなきゃいけないんだ…)
早足で歩く相手に、とりあえず要求を伝える。
「…一緒に行くから、腕、離してクダサイ…」
「…。」
無言でパッと腕を放した神崎は、
「勘違いすんなよ。寄ってくる女がウザいからお前使っただけだから。」
と付け足した。
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