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雨と美形と平凡と。 04
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(…おいおいおいおい、勘違いってなんだよ。)
ジロッと横目に神崎を睨むが、無表情に前だけを見て歩く美形に対し、強く言い返せない聡。
とりあえず早く学校に着いて欲しい、と目を伏せ、小さく溜め息を吐いた。
(今日は不運だ…)
それに追い討ちを掛けるように、神崎と聡の不思議な相合い傘姿を見た生徒達のヒソヒソ話。神崎に向ける目と、自分に対して向ける声の違いに、段々フラストレーションが溜まっていく。
左手に持った壊れた傘をギュッと握り、
「あの、悪いんだけど、やっぱ俺先に行くんで…」
と切り出した聡に、神崎の瞳がユックリ向けられる。
「…は?」
「えっと、悪いから、先に行きます…」
「…は?」
「あのー…だから…先に学校に…」
「…は?」
同じ返答しか返ってこない相手に、苛立ちが限界まで達した聡は、
「あんたと歩きたくないから先行くっつってんの!」
と、つい大声で言ってしまった。
シーン…と静まり返った周囲に気付き、ハッとした。
あまりの気まずさに耐えられなくなった聡は、無言で立ち止まる神崎をそのままに、学校に向けて猛ダッシュでその場を走り去った。
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