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落とし物ランデブー 06
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同じ学校。同じ学年。
2クラス先にいる相手。
だが、聡は今朝の生徒ということに全く気付いていなかった。
自分の思い描いていた人物では無かったことに対し、少し安堵した聡は、1組に行く事を相手に伝えようとしたが、
「あの『ブツッ… ツー…ツー…』…え?」
空しく聴こえる機械的な音に、呆然とした。
(え…ちょ…なんで切られたー…!?)
「だからー。俺は可愛い子の情報を求めてるんだってばー!」
「旬な話だから、せっかく教えてあげたのに~。」
じゃれあうように話す涼太と女子生徒を横目に、1人空しさが増す。
携帯を返すタイミングを伺う聡に気付いた涼太は、すかさず声を掛けた。
「あ、速水、どうだった?」
「携帯、ありがとな。無事?だったみた…い?」
疑問系の回答に「なんだそりゃ」と笑いながら、聡から返された携帯を手に取った。
「誰が持ってたか分かったのか?」
「うん…まあ、うちの生徒…だけど…」
「まじで!?良かったじゃん!」
「…うん。」
歯切れの悪い応答に、涼太は疑問を抱いた。先程まで笑顔だった涼太の表情が、少し曇り気味になる。
それに気付いた聡は、心配を掛けまいと慌てふためいた。
「あ!まじでホントに助かった!いやー顔が見えないから、どんな奴かなーって思っちゃって!あはは」
ぎこちない笑顔で涼太に伝える。
「ほんとか?」
「ホ、ホントホント!いやー安心したー!」
「そっか。なら良いけど…あー…俺は食堂行くけど、速水どうする?」
交友関係が少ない聡に気付いていた涼太は、度々さりげなく昼食に誘ってくれていた。
人当たりの良い性格で、先程のように直ぐに周りに人が集まってくる涼太。
「ちょっと用事もあるし、弁当もあるから…ごめん、俺はいいや。」
集団行動を得意としない為、いつも断りを入れている聡。今日は早く携帯を返して欲しいことも有る。
「そっか…じゃあまた今度な。」
「おー。ごめんなー!」
鞄から弁当を取りだし、聡は1組へ赴いた。
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