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噛めば噛むほど味が出る 05
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――― 翌日。
登校時に昨日のようなイベントは発生せず、午前中の授業まで、いつも通りの時間を過ごし、昼休みを迎えた。
「大丈夫だったか?」
涼太が振り向いて、聡に問いかける。
「何が?」
「携帯」
「ああ。無事だった。ありがとう。」
苦笑しながら涼太に礼を言うと、弁当を用意する。
「…なあ、速水。」
「ん?」
「…いや、なんでもない。」
一瞬見えた涼太の曇った表情が気になったが、直後に別の生徒が涼太に声を掛け、その表情はいつもの明るい涼太に戻った。
(どうしたんだ、長谷部…?)
呆ける聡を横目に、「またな」と片手を上げ、その場を去った良太。
その姿を見送り、聡も弁当を片手に教室を出た。
体育館裏に到着し、今日は誰も居ない事を確認した。
ホッと胸を撫で下ろし、唯一の楽しみである弁当のおかずを見る。
「あ、卵焼きだ。ラッキー♪」
独り言を呟き、軽く手を合わせて本日の昼食をスタートする。
モグモグと幸せな一時を噛み締めていると、遠くから足音が近づいてきた。
(…げ、誰だよ。)
床と靴が擦れる音が徐々に大きくなってくる。
端を止め、そっと廊下の方へ顔を覗かせようとすると、携帯のバイブが鳴った。
想定していなかった音にビクリと身体に緊張が走った。
「び…っくりしたぁ…。誰だ…よ…ッ!?」
折りたたみ式の携帯を開けると、嫌な予感が高まった。
表示されない名前。番号だけの表示はある。
昨日の帰宅時にも同じような経験をした。
(ま、まさか…)
鳴り響くバイブ音は、すぐそこの人物にも聞こえたのだろう。
聡自身、あまり聞きたく無かった声が降ってきた。
「よう、ジメ男」
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