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噛めば噛むほど味が出る 07
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それから1週間が過ぎた。
先に居るのは聡。後から成美が登場するという順番だ。
「なあ、お前は教室じゃなくて良いのか?」
不意に疑問に思い、聡は何気なく成美に問いかけた。
この外見もあるし、人気者だろうに、何故こんな体育館裏で昼休みを取るのか不思議だった。
「…何が?」
「昼休み。」
「…ああ。教室は面倒だから。」
溜息混じりに放った言葉は、本心からだろう。
「へー」
(イケメンも大変なんだな。色々と。)
自分から質問をしておいて、特に掘り下げるもなく勝手に自己完結した為、直ぐに会話が終わった。
「…お前は?」
「へ?」
「なんで、食堂とか教室じゃねぇの?」
まさか、そんな質問が返ってくるとは思わず、口を開けたまま止まる。
確かに、虐めを受けている訳でもない。嫌いなヤツがいる訳でもない。
「…居にくいってか…居たくない、かな。」
「居たくない?」
「できれば…一人で居たい。」
「…ふーん」
ボソリと告げ、少し曇った聡の顔を横目に見て、成美もそれ以上は質問をしなかった。
“じゃあ、今も?” と、ついつい聞きそうになったが、口に含んだお茶と一緒に飲み込んだ。
食べ終わった後、先に去るのはいつも聡だった。
「また明日」「じゃあ」などという挨拶も特に無く、成美が横になってしまう為、その間に聡がその場を後にするのだった。
埃っぽいと文句を言いつつ寛いでいる成美を思い出し、フッと軽い笑みを漏らしたのだった。
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