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嫌よ嫌よも… 02
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3分後。
抜き打ちテスト、最悪な結果を覚悟した聡。
いつもは前日に準備しているが、昨日は勉強途中に寝てしまったのだ。
今朝は遅刻ギリギリに飛び起きての準備。
英和辞典は聡の勉強机で寝ている事だろう。
(まあ…これで通信簿の結果が決まる訳じゃないし…)
左右される事はあるかもしれないが…と溜め息を吐くと、教室の外から黄色い声が聞こえる。
急に聞こえた歓声に体をビクッと緊張させ、出入り口の扉に視線を向けた。
(な…なんだ…?)
教室にいる何人かの生徒が席を立ち、廊下の様子を見に行く。
すると、その内の1人の女子生徒が慌ただしく戻ってきた。
「か、神崎くんだよ!」
「え"っ!!!!」
まるで蛙が潰れたような声を上げる聡に、他の生徒と話していた涼太がチラリと見る。
その目線に気付く気配が皆無な聡は、思いがけない出来事に、掌が汗ばんでいくのが分かる。
(なんでアイツから来るんだよ!?)
焦る聡を置いて、教室のドアに成美が姿を現した。
すると、教室にいた女子も黄色い声が湧く。
少し怪訝そうな顔をして、眠そうな瞳を室内に巡らせた成美は、聡の姿を見つけるなり教室の中に入ってきた。
一方の聡は、あまりの驚きにポカンと席についたまま成美を見ているだけだった。
ーーートンッ
急に机の上に置かれた物を見て、聡は更に驚く。
「昼に返せよ」
ボソッと放った成美は、そのまま教室を出ていった。
その一連の流れを見ていた生徒は、成美の姿を目で追った後、聡に目線を向けた。
シーンと静まり返る教室に、授業の鐘が鳴り響くのであった。
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