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嫌よ嫌よも… 04
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昼休みの合図。
聡は弁当箱と、成美に返却する辞書を持って教室から出ようとした。
「速水くん!」
急に呼び止められて振り向くと、そこには二人組の少し派手目な女子が居た。
「なに…?」
「それ、うちらが返しといてあげるよ!」
ニコリと笑い、それ、と言って指された先には、成美の辞書があった。
「え…っと」
「はいっ!」
手を出して、渡すように促されるが、聡はそれに答えなかった。
「俺が借りたから…自分で返す…よ…」
消えそうな声で相手に伝えるが、後ろに居た女子生徒が参加してきた。
「マナミ、神崎くんの事気になってるの。協力って事で、それ返させてくれない?」
マナミであろうその女子生徒は、頬を少し赤らめて、今一度力を込めて手を出す。
しかし今から教室に行ったところで、神崎は居ない事は察しがついた。
「ご、ごめん。今、アイツ教室いないだろうから…」
「そんなの行かなきゃ分かんないじゃん!ほら!」
そういって弁当箱の上に乗せていた辞書を半ば強引に持っていこうとしたが、驚いた聡は反動で弁当箱と辞書を床に落としてしまった。
ーー ガチャンッ
「あ!」
幸い、弁当箱は袋に包まれていた為、辞書と床が汚れる事はなかった。
が、これから食べるであろう中身に関しては、悪い予感しかしない。
「ご、ごめん…」
一瞬固まった聡だが、相手の謝罪が聞こえて我に返り、弁当と辞書を手に取った。
「大丈夫…です…」
居心地の悪い空気が流れた為、聡は小走りでその場を去った。
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