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フレンドシップトリーティー 01
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---ガタンゴトン、ガタンゴトン
電車に揺られる平凡が一人。
成美にトラウマを打ち明けたところ、自分と友達になってみろ、と伝えられた聡は、益々神崎成美という人間が分からなくなった。
急な展開に考えが追い付かなかった聡は、曖昧な返答をしていると、ハッキリしろと成美に叱咤された。萎縮してしまった事もあり、半ば強制的に承諾をさせられてしまったのである。
明日とりあえず駅前で待っている、と成美から時間を伝えられ、昼はおろか、登校も一緒にする約束もしてしまったのだ。
溜め息を漏らしたものの、胸の痛みが少しだけ和らいだ事に、成美に指摘された事が強ち間違いでも無かったと思った。
翌朝。
いつもより早い電車に乗った聡は、10分ほど予定より早く待ち合わせ場所に着いてしまった事に後悔した。
(こ、これじゃあ、一緒に行くの楽しみにしてるみたいじゃんか…)
どうしたものか、と片手で額を押さえていると、後ろから軽く叩かれた。
「ィテ…っ!」
「朝から何悩んでんだよ」
叩かれた後頭部を押さえて振り向くと、眠そうな成美がいた。
「叩くこと無ぇじゃん…」
睨み付けつつボソボソと呟く聡の前を通り過ぎ、成美は先に進んで行く。
待ち合わせなくても良かったんじゃ無いか、と成美の行動に疑問を抱きながら、仕方なく後を追った。
「なぁ、お前…」
「お前じゃねぇ」
(お前だって俺の事、テメェとかジメ男としか呼んでねぇじゃんか…)
「…神崎って、テスト勉強してんの?」
ムッとしながら、成美に質問する。
「まぁまぁ。前いた学校とやってたとこ大体被ってっから。」
「へー…」
その後に沈黙が流れる。
暫く『友達』という関係を築いていなかった聡は、コミュニケーション能力が低下していることもあり、中々会話が続かない。
どうしたものかと悩んでいると、成美に「お前」と言われ、咄嗟に「お前じゃない!」と同じ返しをしてしまった。
「…速水って…バカだろ」
「ちょいちょい失礼だなおま…、神崎…」
聡の返しに軽く笑った成美を横目で見ると、整った顔立ちに若干嫉妬のようなものを覚える。
「英語、教えてやろうか。」
「…え?」
「一応、得意分野だから。」
「ま、まじで?」
スッと目の前にピースサインを向けられる。
「1回教えるにつき、飲みもん2本」
「い、1本にしろよ!」
「…しょーがねーな」
溜め息混じりに折れた成美に対し、初めて勝ったと思い、同じようにニヤリと笑みを返した。
初めて見た聡の笑顔に、ドクリと鼓動が波打つ。
「え…な、何だよ?」
「いや、別に…」
成美は気恥ずかしくなり、視線を聡から外すと、少し歩くテンポを速めて学校へ向かうのであった。
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