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フレンドシップトリーティー 04
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数秒の沈黙。
鋭い視線を前に、聡は何も言い出せなかった。
女子生徒はそんな態度の聡に対し、深くため息を残して去っていった。
開けたままの弁当箱を見て、何故あんな視線を自分に向けるのだろうと考え込んでいると、先ほどの女子生徒の声が廊下に響き渡った。
「神崎くん!ねぇねぇ、一緒に食べようよお昼!」
「は?誰、お前」
相変わらずな受け答え方に、聡は苦笑する。
開けたままだった弁当に箸を付けて、口に頬張る。
「同じクラスの田島だよ!今日くらい、イイじゃん!とっておきの場所知ってるんだよ!」
「…行かねぇから。」
「…もしかして、あの暗い子と食べるの…?」
ポロリ、と掴んだプチトマトが弁当箱へ落ちる。
「関係ねぇだろ。」
「…だ、だって!」
「もうついてくんな」
あまりにも冷たすぎやしまいかとハラハラしていたが、少しの沈黙の後、走り去る足音が聞こえた。
恐らくは先程の女子生徒が去っていったのだろう。
少しすると、成美の姿が聡の視界に現れた。いつも通りの場所へ行くと思ったが、ドカリと隣に腰を降ろした成美に驚きの表情を向ける。
「え、上、行かねぇの?」
「俺の勝手だろ。」
視線を此方に向けずに答える成美の整った横顔に、ドキリとした。
まるで、聡との関係性もそうだというような成美の返事に、喉が震える。
「あ、そ…」
震える声がばれないように聡は素っ気ない返事をすると、落としたプチトマトを改めて口に含む。
成美も手に持っていた袋からおにぎりを取り出す。ビニール袋の擦れる音と、成美の発した質問が被さった。
「今日、暇だろ」
「ん…?なんで…?」
「英語」
「ああ。あー…でも…俺、持ち金あんまないから…」
「付けとく」
ニヤリと片方の口角を上げ、聡を横目で見る。
「付けに利子無しっすよね、神崎クン…」
「…何パーにすっかな」
「付けんのかよ!」
「付けねぇよ貧乏人」
「び…ど、どうも!」
直後に弁当をパクリと食べる聡に軽く笑うと、成美も手に持ったおにぎりをかじる。
先程の女子生徒に対する態度と違うのは、普通の友達としての会話だからだろうか。
--友達、か…
いつもよりも美味しく感じた弁当の味に、少しだけ顔を綻ばせる聡だった。
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