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フレンドシップトリーティー 05
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『帰りは早く終わった方が、相手の教室の前で待ち合わせる。』
あまり目立ちたく無い聡だったが、直ぐに帰れば問題ないだろうと成美に言われ、渋々承諾した。
残りの授業も終わり、相変わらずな涼太の態度に、もしかしたら自意識過剰だったのかもしれない、と感じる。
涼太は涼太で、他の友達が居るのだ。
このまま自分と関わらない方が、涼太としても気が楽だろうと考えると、少しだけ聡の瞳が揺れた。
帰りのHRが終わると、聡は沈みそうな気持ちを散らそうと、教室の外を見る。成美の姿が無いことから、まだ1組のHRは終わっていないのだろう。
1組の前へ着くと、後ろドアの窓から成美の姿が見えた。
つまらなそうに肘をつく姿勢に、聡は苦笑する。
ーーあいつ、学校楽しいのかな…
そういえば転校生だったな、と思いながら成美の姿を見ていた。
改めて綺麗な横顔だな、と感じる。その美しさに惹かれている人が多いが、面倒臭さからか人と距離を置いているような行動に、そこだけは共感できるような気がした。
もしかすると、成美にも苦い過去があるのかもしれない。
色んな事を考えながら眺めていると、成美が聡の視線に気付き、目が合ってしまった。ギクリとした聡に対し、成美は軽く微笑みを返す。
あまりにも綺麗な微笑みに、心臓が大きく跳ねる。
徐々に顔に熱が溜まっていくのを感じて目を反らすと、成美にばれないように、聡は成美の視界から見切れる位置に移動した。
周りに変に思われないように、顔を俯かせる。
間もなくして1組のHRが終わった。
パラパラと生徒が出てくると、成美が姿を現す。俯いたままの頭を軽く小突かれると、慌てて聡は顔を上げた。
「コンビニ寄ってく」
「お、おう。」
颯爽と歩き出した成美に続こうとすると、1組から出てきた一人の女子生徒と目が合った。昼に"田島"と名乗っていた女子生徒だった。
ぺこりと軽く頭を下げ、再度視線を向けると物凄い形相で睨まれていた。
息を飲んでその場に立ち止まっていると、その先にいた成美に早くしろと声を掛けられ、その場を足早に去るのだった。
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