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Silence is tear drop 04
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それからどれ位の時間が経過しただろうか。
暫くして冷静になって来た聡は、咳払いをして成美の様子を伺おうとした。
だが、なんと言葉を掛けて良いかが分からない。
それを察した成美は、「トイレ」とポツリと残し、聡の身体から離れていった。
成美の部屋に残された聡は、一人考えていた。
どれだけの重さと戦ってきたのだろう。
自分の悩みとは比にならない。
「神崎…」
呟いた名前に、自分の胸が熱くなっていくのを感じた。
これが友情というものなのだろうか。
聡の中で、成美を支えたいという思いが強くなっていった。
数分すると、成美が部屋に戻ってきた。
恐らくは顔を洗ってきたのだろう。成美の前髪が少し濡れてる。
「あ…えっと、今何時…だろ…」
聡は成美から視線を外すと、自分の鞄を漁る。
手にした携帯を見ると、16時代の時間を表示していた。
あれからまだ1時間程しか経過していない事に、少し驚いた。
「帰るか?」
「…え?あ、いや…」
帰りたくない。
聡の心の中に、その言葉が大きく響く。
成美を一人にしたくないという気持ちなのが、自分のエゴなのか、どちらが強いのか分からなかった。
「…大丈夫…か…?」
「…あぁ。大分、落ち着いた。」
「そう…」
沈黙。
ああ、このままだと帰れと言われそうだな。
成美だったら言うだろうな、と思いながらも、下を俯いていると、影が落ちる。
「目、赤ぇぞ」
「…っ!!」
成美が覗き込む。
驚きで聡が後ずさった。
「あ…えっ…と、か、顔、洗いたい…」
「…こっち」
成美に導かれるまま、聡は着いて行く。
洗面台を教えて貰うと、聡はジャバジャバと顔を洗う。
一頻り洗うと、見計らったかの様に成美がタオルを差し出す。
「あ、ありがと…」
「…なんでどもってんだよ」
クツクツ笑いながら話す成美に、少し聡は安堵した。
男同士だ。何も恥らう必要なんてない。自分たちは友達なのだ。
自分の気持ちを誤魔化すかの様に、聡は極力明るい声を出した。
「あー!スッキリした!」
「まだ目赤いけどな」
「お前もな!」
聡が返すと、お互いに噴出し、笑い合った。
成美に感じていた隔たりが一気に縮まった様に思えた。
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