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2人の距離のアルゴリズム 05
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「とりあえず、落ち着けよ。お前。」
置いたコーラをグイっと聡に近付ける。
「…落ち、着いて」
「無ぇだろ。どうみても。」
聡は窮屈に感じた喉に、一口コーラを流込んだ。
グラスを持つ手が、カタカタと震える。
聡の手元を見つめながら、成美が呟くように話す。
「…俺。前の学校だと、適当にしかつるむヤツ居なかったけど。」
「うん…」
「ここ来てから、確かに速水としか居ないっつーか」
「…うん」
「お前、そんな面白く無えのに、なんでだろうな?」
「…こ、言葉選べよ…」
「速水相手に言葉選ぶ必要無くね?」
「あのさぁ…」
ハァ、と溜息を漏らすと、少しだけ聡の表情が和らぐ。
「まぁ…俺もちょっとビビったけど。」
「…怖い…よな…エスカレートすると…神崎、危ないんじゃ…」
「馬鹿。俺よりお前のが危ねえだろコレ。」
「そう…かな…」
写真と手紙。田島がやったのだろうか。
眉をしかめ、手元にグッと力が力が込もった。
「俺が速水と会うこと無くなっても、コイツんとこは行か無えのに…」
「そうだよな…」
「あ。」
「ん?」
「お前の携帯って、録音アプリある?」
「え…いや、わかんない…使った事無いわ…」
「なら、今度持ってくる。ボイスレコーダー」
「なんで…ボイスレコーダー?」
「なんかあった時に使えるだろ。証拠的な。」
「…なるほど!」
その発想は無かった。確かに何かあった時に録音しておけば、確たる証拠になる。
悪質なストーカーの防止にもなるかもしれない。
少しだけ希望が見え、少しだけ安堵する。
「ってか、神崎、ボイスレコーダー持ってるとか凄いな」
「昔に何回か合ってたから」
「ん?」
「ストーカー被害」
(マジかよ…)
確かに稀に見る美形であるが、まさかそこまでの経験をしていたとは思わなかった。
「そういえばさ…」
「何?」
「神崎って、彼女とかいたの?」
「まあ…居たこともあったな。」
「そっか…」
「全員1ヶ月持たなかったけど」
「…とっかえひっかえかよ。」
「そんな多く無ぇけど…まぁ、大体飽きてた」
(うわぁ…)
大体予想はしていたが、まさか最大期間が1ヶ月と思わず、白けた目で成美を見る。
一体何人の女性と付き合ってきたのだろう。成美の風貌で有れば、不自由しなかっただろうと思う。
すると、成美が少し姿勢を前のめりにしたかと思うと、少しトーンを落とし気味にして聡に問い掛けた。
「速水、童貞だろ。」
「ど…!だから、お前、言葉を…!」
いきなりの質問に聡が周囲にキョロキョロと視線を向けながら、小さく抗議した。
「まあ、まだ16だしな。」
「…あと3ヶ月くらいで17だけど。」
「けど、童貞?」
「~~ッ!もう黙れよお前…!」
身を乗り出して揶揄かう成美の口元を、聡は右手で覆う。
まさか口を塞がれるとは思っていなかった成美は、反射的に右手首を掴んで引き剥がそうとした。
聡も負けじと少し右手に力を込め、押し合いへし合いする。
「あの…」
声がした方向へ二人同時に視線を向けた。
「オムライス2つ…お待たせしました…」
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